パリ五輪では競技だけではなく、攻撃も盛り上がっている。Microsoftによると、特に人工知能(AI)技術を使った捏造(ねつぞう)動画には注意しなければならない。その攻撃の手口とは。
2024年7月26日から8月11日までパリで開催されている「第33回オリンピック競技大会」を機に、ロシアによるサイバー攻撃が活発化している――。Microsoftはそうみて警鐘を鳴らす。新手の攻撃に使われているのが、人工知能(AI)技術だという。AI技術によって“あの人気俳優”を模して制作された偽映画もある。その手口と狙いとは。
Microsoftによると、ロシア政府が支援しているとみられる一連の攻撃は、国際オリンピック委員会(IOC)の他、開催国フランスの政府機関や同国エマニュエル・マクロン大統領などを主な標的としている。ドーピング違反やウクライナ侵攻のため、ロシア選手の大会参加にIOCから条件が付けられたことが背景にある。攻撃活動は約1年前から始まり、「混乱を招いてIOCの評判を落とすことを目的としている」とMicrosoftは説明する。
攻撃集団の一つが「Storm-1679」だ。Microsoftによると、Storm-1679は2013年に公開された映画「Olympus Has Fallen」(邦題「エンド・オブ・ホワイトハウス」)にちなみ、「Olympics Has Fallen」(オリンピックは破綻している)という映画を公開。その映画では、生成AI技術によって米国俳優トム・クルーズ氏を模した音声を使い、IOCを糾弾するシーンを作成した。Microsoftは、この映画を制作するには高度な技術とスキルが必要だったとみている。
Microsoftによれば、Storm-1679は他にも欧州の放送局を模した偽造の報道映像を公開。大会期間中にパリで犯罪やテロ事件が多発する恐れがあると主張し、「パリ市民がテロ事件を見越して特別保険に加入している」「フランス旅行を取りやめた人が続出し、チケットの4分の1近くがキャンセルされた」といった偽情報を流している。「Storm-1679は中央情報局(CIA)やフランスの国内治安総局(DGSI)を装ったプレスリリースも作成し、パリに近づかないよう警告している」(Microsoft)
もう一つ、Microsoftが活動を追跡している攻撃集団は「Storm-1099」(「Doppelganger」とも)だ。Storm-1099はフランス語のフェイク(偽)ニュースサイトを使って、IOCの腐敗を主張したり、大会期間中の暴力事件の発生を警告したりしているという。加えて、Storm-1099はフランスの日刊新聞『Le Parisien』(ル・パリジャン)といった実在するメディアを装った偽造コンテンツを作成。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を中心に、その偽造コンテンツを流して不安感を煽ろうとしているとMicrosoftはみる。
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