「生成AI」と「予測AI」は、いずれも業務効率を向上させるAI技術だ。両者にはどのような違いがあり、ビジネスのどのような場面で”使える”のか。専門家の意見を基に整理する。
文章や画像を自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」の活用が広がっている。同じく業務の効率化に役立つAI技術「予測AI」とは何が違うのか。それぞれ業務のどのような場面で使える技術なのか。
生成AIは、既存のデータやパターンを学習し、画像やテキストといった新しいコンテンツを生成する。芸術や音楽などのクリエイティブな分野から科学、創薬、マーケティング、教育までさまざまな分野で利用可能だ。
予測AIは、過去のデータやパターンを使用して未来の出来事の結果を予測したり、意思決定や戦略の策定を支援したりする。
「生成AIと予測AIは独立した技術だが、ビジネス戦略を構築する際に相互補完的に機能する場合がある」。コンサルティング会社Kearneyでアドバンストアナリティクス部門のパートナーを務めるバーラス・トータ氏はこう述べる。例えば、生成AIは製品の機能設計を支援し、予測AIは機能に対する消費者需要や市場の反応を予測できる。生成AIがデータを生成して予測モデルのトレーニングに用いるデータセットを強化し、予測能力を向上させることもできるという。
「予測AIは、数字を駆使する高度なアナリストと考えてほしい。一方、生成AIは、作家や芸術家、研究のアシスタントといった創造的な存在だ」。ToolsGroupのCEO、インナ・クズネツォワ氏はこう語る。ToolsGroupは、AI技術を活用してサプライチェーンの計画策定と最適化を図る企業だ。
ITコンサルティング企業Hexaware Technologiesのプレジデント兼生成AI部門長を務めるアルン・ラムチャンドラン氏は、予測AIを「分類問題(データを特定のカテゴリーや階層に分ける問題)を解決する手助けをするものと捉えると分かりやすい」と話す。例えば、予測AIはローンの支払いにおける債務不履行を予測する際に使用できる。
「複数の出来事が連続変数(連続した数字で表される変数)に与える定量的な影響を予測し、回帰問題(ある変数の値を他の変数を使って予測するための手法)を解決する手助けもできる」と同氏は説明する。例えば、クレジットカード利用者の支払い能力や利用傾向の分析に使用できる。こうした予測AIの分析は、過去の出来事から得た構造化データに基づいているという。
一方、生成AIは、エンドユーザーが入力するプロンプト(情報を生成するための指示や質問文)や学習元となる非構造化データに基づいて、新しいコンテンツを生成するように設計されている。生成AIが生成した回答は、あくまで定性的な推論に基づいた回答になる傾向がある。
生成AIはビジネスのどのような場面で使われているのか。以下に一例を紹介する。
一方、予測AIはビジネスのどのような場面で使われているのか。ITベンダーDoherty Associatesの最高技術責任者(CTO)オーウェン・モリス氏は以下の例を紹介する。
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