大量販売、大量消費の時代は終わり、消費者ニーズが多様化している今、小売・卸・メーカーといった流通業はどのように変化していくべきか。連載の最終回では、流通業企業が今目指すべき姿を考える。
【第1回】小売業・卸売業のIT部門が流通BMSの導入前に考えるべきこと
【第2回】メーカー・卸間EDIの歴史に学ぶ、“徹底して標準を守る”重要性
【第3回】流通BMSが進展した後のSCM理想像とメーカー・卸・小売の役割
【第4回】日本のティッシュはなぜ安い? 業界標準EDIが実現する日本型SCM
【第5回】EDIの進化──マーケティングへの応用と流通業界横断の情報共有ネットワーク
【第6回】「問題解決型IT活用」を実現する情報化時代の経営の在り方
【第8回】大手卸売業の事例に学ぶ流通業のCIOに求められる適性
【最終回】終わりを遂げた大量販売/消費時代、流通業は市場変化に対応する企業であれ
先日、流通科学大学の学長 石井淳蔵氏と、昨今の流通業界の動向について語る機会があった。その席上で次のような話が出た。
日本の市場は成熟の極みに達しつつある。マーケット成熟以前の消費者は、「人と同じモノを、人より早く、多く持つこと」に躍起になっていたが、個々のニーズが多様化した今では、「人とは違うモノ」を求めるようになった。極端なことを言えば、1億2700万人それぞれが違ったモノを求める時代になり、自分の欲しいモノがはっきりしているということである。
従来通りのワンストップショッピングという売り方を継続している百貨店や総合スーパー(GMS:General Merchandise Store)が依然苦戦しているのは、このようにスケールアップした消費に応えられなくなったからであろう。
一方で、最近売り上げを伸ばしている小売店の1つに、オーガニック系のせっけんや雑貨などを扱う「生活の木」がある。この店の特徴は、扱っている商品に対する店員の思い入れがとても強いことだ。店員自身が自分の欲しいものを提案し、それに共感した同じ生活感覚を持っている消費者が買い物に来る。これこそが生活の木が支持される理由であろう。
地方のスーパーでも似たような例はある。九州地方を中心に店舗を構える食品スーパー「ハローデイ」は、アミューズメントを意識して、店内のディスプレーや商品の並べ方1つにも徹底的にこだわっている。さらに、育ち盛りの子どもがいる家庭をターゲットとしたセット商品を販売するなど、随所に客が共感する工夫が施されているのである。
どちらの店にも共通することは、顧客と店の感覚が一緒ということだ。このように、特定の嗜好や価値観を持った消費者向けの商品を販売する小売店が増えてきているのが、最近の流通業界の傾向である。
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