IoT(モノのインターネット)がストレージに与える影響について、1つはっきりしていることがある。1つの方法だけでモノが生成するデータに対応することはできない。何よりも、データを生成する機器やデータの種類はあまりに多岐にわたる。(続きはページの末尾にあります)
スマートファクトリー化や、OTとITの連携・融合を進めるにはさまざまな課題がある。そもそも、工場にITエンジニアが不足しており、IT機器やアプリケーションの面倒を誰が見るのかなどの課題がある。どうすれば解決できるのか。
多くの製造業が工場のスマート化を加速させ、工場内のあらゆる機械が「つながる」ようになる中、工場は「狙われる存在」へと変化する。工場の安定稼働を守るために必要なセキュリティ対策として、何をすべきか。
スマート工場化が加速する中で「工場内ネットワークの無線化」が注目されているが、安定性や信頼性といった課題も存在する。日本ヒューレット・パッカードの安藤博昭氏と天野重敏氏、MONOist編集長の三島一孝が鼎談(ていだん)した。
製造業の間で、生産性向上やデータ活用の促進を目的にスマート工場化が加速している。一方、IT(情報技術)とOT(制御技術)をいかにセキュアに連携させるかという点は課題となる。現場の事情を考慮した、ネットワーク構築の最適解とは?
工場のスマート化の進展により、工場内でもデータの蓄積や活用が加速している。この中で関心が高まっているのが、エッジコンピューティングだ。工場内でのクラウド活用におけるデータの置き所と処理の仕組みの在り方について解説する。
新型コロナは製造業の業務プロセスも大きく変化させつつある。その一つが「工場のスマート化」の加速だ。従来の工場は「現地現物」が前提として定着していたが、その様相は大きく変化しつつある。リモート化を前提とした工場の変化を追う。
製造現場で、スマートファクトリー化が進んでいる。だが、活動が進展するほどデータ活用とセキュリティの課題が浮き彫りになってくる。これは、OT(制御技術)の現場でITの展開をどう管理していくかという、より本質的な問題にもつながる。
製造業のIoT(モノのインターネット)活用が本格化する中、避けて通れないのが「工場内ネットワークをいかにIoTに適した姿に構築して運用管理するか」だ。新しいIoTネットワークの正しい形とそれを実現するアプローチについて考察する。
生産性向上の切り札としてIoT活用が注目されている。だが新旧の設備が混在する製造現場では、IoTをどう活用すればいいか分からないという声も多い。設備と人の稼働データをIoTで収集し、可視化と分析によって生産性向上を図る方法とは?
生産性向上の切り札としてIoT活用が注目されている。だが新旧の設備が混在する製造現場では、IoTをどう活用すればいいか分からないという声も多い。設備と人の稼働データをIoTで収集し、可視化と分析によって生産性向上を図る方法とは?
製造業でもデジタル変革の動きが加速している。しかし、データ活用のサイクルがうまく構築できず、実際に価値を創出できている企業は少ない。この課題を解決するために必要なものとは何か。
価値創出を目的に製造業でIoT活用が加速している。だが膨大なデータを前にその取り組みが思うように進んでいない現場も目立つ。どのようにデータを分析し、価値につなげるか。その秘訣は活用レベルに応じたアナリティクスの実践にある。
ほとんどの企業でクラウドが活用されている。だが、せっかくのクラウドをうまく運用できず、その恩恵を受けられないという課題もある。なぜ、うまく運用できないのか。その原因はどこにあるのか。解決の鍵はどこにあるのだろうか。
商業施設や医療機関、教育機関、オフィスビル、工場など、安全管理の強化が求められるシーンは多い。だが警備員の人手不足が深刻化しており、監視カメラによる警備も完全とは言えない。解決の糸口となるのがAIだ。
企業システムには不可欠の存在となった無線LAN。だが、最近は運用管理負荷やコストの増大といった課題も顕在化してきている。こうした課題を解決し、安定運用を実現するにはどうすればよいのだろうか。
モノづくりを継続的に進化させ、IoTやデジタルツインの考え方を基にスマートファクトリー化を進め、成果を生み出しつつあるのが楽器製造大手のヤマハだ。同社の取り組みと、それを支えたウイングアーク1stのソリューションを紹介する。
テレワークの浸透とクラウドサービスの台頭で、企業のシステムはますます複雑化している。その中で、オンプレミスシステムのみのときには生じなかったセキュリティやパフォーマンスの問題が生じるのはなぜか。原因と対策を探る。
IT機器の管理に不可欠なLEDランプの監視を人手で実施することには、さまざまな課題が伴う。コストを抑えつつ安定的にLEDランプ監視を実施し、トラブルにいち早く対処できるようにするには、何が必要なのか。
工場や産業プラントは、施設の老朽化や人員不足といったさまざまな課題に直面している。そうした状況を打開するためのDXを支えるのが、多様な機器を高速に結ぶ「プライベート5G」だ。どのようなメリットをもたらすのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で人々の生活様式が変わったことで、ビジネスの発展における顧客の位置情報分析「ロケーションインテリジェンス」の重要性が強まっている。企業は何から着手すればよいのか。
製造業DXにはクラウドなどの活用が不可欠だが、機器どうしがつながることでセキュリティ面でのリスクも高まる。「ラインを止めない」という重要課題を、安全性に配慮しながら解決するにはどうすればよいのか。現場を知るプロたちに聞いた。
AWSは製造業向けに、機械学習を生かした新たなサービスを発表した。産業機器の保全や品質管理を支援するために、ハードウェアやソフトウェア、クラウドサービスを組み合わせて提供する。
もう1つ明らかなこととして、大量のデータはさらに増大する。データセンターをそれに対応させる必要がある。クラウドストレージは1つの解決策になるかもしれないが、唯一の解決策ではない。セキュリティはIoTが投げ掛ける多くの課題の1つにすぎない。
IoTプロジェクトのためのストレージを計画する場合、最初の仕事はそのプロジェクトで生成されるデータの種類を特定することだ。IoTデータは究極的には2種類に大別できる。1つは防犯カメラが生成するような、大型のオーディオビジュアルファイル。もう1つは環境センサーのような機器が生成する小型のログファイルだ。
それぞれのデータタイプの入出力プロファイルは、読み込みと書き込みに関連する限り、あまりに違いが大きく、もし生成されるデータにこの両方のタイプが含まれるのであれば、1つで全てに対応させるIoTストレージアーキテクチャの設計は現実的ではない。
IoTの多様性を表す実例を見つけるのは難しいことではない。その筆頭に挙げられるスマートシティーは、環境モニター、ビデオ監視、交通管理などの幅広い機能を網羅する。例えばミルトン・キーンズではスマートドローンなどのアプリケーションを取り入れ、ドライバーのいない車の実験を行っている。
他にもEricssonのMaritime ICT Cloudは、IoTが生成するデータを使って運輸企業のために交通、貨物、港湾、天気、安全に関する情報を手作業で更新するプロセスを自動化している。ICT Cloudは海上の船舶を、陸上の業務やメンテナンスサービス事業者、顧客サポートセンター、輸送パートナー、港湾運営当局と結び付ける。
一方、ドイツの自動車メーカーDaimlerは、IoTデータを使って移動中の車の安全手順を自動化している。例えばDaimlerのトラックには近接コントロール、のろのろ運転支援、非常ブレーキ支援、車線逸脱防止支援、他の車両との安全な距離を保つ助けになる3Dマップが搭載されている。同社はまた、ドライバーの反応時間向上を支援するためのステレオカメラとレーダーセンサーを開発した。
モノのインターネットはデータセンターとストレージの設計に複数の面で影響を及ぼす。まず第1に、データを機器から引き出すことが不可欠になる。大抵の機器は小型の内蔵ストレージがあり、そこからセキュアなバックアップストレージシステムへデータを移動させる。
このデータは特有であるだけでなく、非常に貴重な場合もある。こうしたデータには、例えば企業によるコスト追跡を可能にする環境データや、北極探検隊からのサンプルデータなどが含まれる。
センサーなどの機器からのデータは、大量の小型データで構成され、高いレベルの入出力を必要とする。
こうしたリアルタイムデータの大部分はデータベースに保存され、正確な分析のためには正しい順序で処理しなければならない。例えば気温の上昇は、データポイントが届く順序が間違っていれば、コンポーネントウェアのような他のデータと正確に関連付けることができない。
そのためには非常に高速なストレージが求められる。特に、できる限りリアルタイムかそれに近い速度で処理する必要がある場合、SSDが必須になる。いずれはそうした高速ストレージに対する需要がかき立てられる見通しで、フラッシュ代替技術が多数のメーカーによって開発されている。例えば消費電力の削減をうたうSamsung Electronicsのマルチストリームコントローラー技術や、Intelの「3D XPoint」、さらには磁気抵抗メモリ(MRAM)などがある。
一方、大型データオブジェクトの場合、連続的な転送が要求されることから、この種のデータの管理、保存、取得にはオブジェクトストレージが最善の手段になる。
そこで最大級の課題となるのは必要とされるストレージ容量の増大だ。これは設備投資の増大や、社内データセンターやクラウド事業者のコスト抑制に対するプレッシャーの増大につながり、ITチームによるストレージ管理の強化が必要になる。
企業はクラウドベースのストレージ利用を決断するかもしれない。その場合、データ分析の大部分もクラウドで行われる。
企業や家庭の機器の数が数十億単位に増えれば、それを支えるインフラにも変化が求められる。分散された大量の機器が発生させる大量のトランザクションは、多くのデータセンターシステムを限界へと追い込む。
トラフィックの大部分は現場から届く生データで、入ってくるものが大半を占める。処理はデータセンターで行われるかもしれないが、距離によるレイテンシを避けるため、ローカルでダウンロードして処理する公算が大きい。
リアルタイム分析に役立てるため、IoTデータはサーバとストレージ間の低レイテンシが求められる。従って、こうした機能はさらに接近させる必要が生じ、場合によってはハイパースケールおよびハイパーコンバージドインフラのように、ほぼ融合する。
クラウドを使う場合、サービス品質保証契約(SLA)の中に、ストレージと処理機能の間のレイテンシなどの基準が盛り込まれているかどうか確認することが重要だ。また、低レイテンシが不可欠であることから、小規模なデータセンターがデータに近い場所に建設されるようになるだろう。分析結果は中核施設へ転送する必要があるが、データ自体にその必要はない。これは、広域ネットワーク(WAN)の帯域幅ニーズにも影響を及ぼす。
データセンターへのデータの流れも増大することから、データセンターのエンドポイント端末も変更する必要があるかもしれない。これまでのデータセンターは一般的に、消費のためのデータを生成する存在だった。未熟な技術が進化する中で、データの量や種類が変動し、データセンターは柔軟性を維持して、必要に応じて拡張や縮小ができることが求められる。
セキュリティも引き続き重要だ。センサーはセキュリティに不備があることも多いため、企業はデータセンターやクラウドプロバイダーが提供するセキュリティを当てにする。他にも、機器の多様性と数はセキュリティ上の課題を生じさせ、そうした機器間の相互関係のために一層複雑さが増す。
ほとんどのシステムは人が関与するデータの流れを処理することを想定しているのに対し、IoTのマシン対マシンの通信では、機器に対していつ、何をすべきか指示できることを目指してきた。これは未来の処理システムやストレージシステムの設計者が、データの流れを安定させる助けになる。
それでもIoTはデータセンター全般、特にストレージに根本から影響を及ぼす。高速、低レイテンシ、大容量は高くつく公算が大きい。今こそ計画を立て始めるべき時だ。