「SSD」(ソリッドステートドライブ)は、コンピュータで使用できるストレージハードウェアの一種だ。SSDは、電源を切ってもデータを失わず、永続的にデータを保存する不揮発性メモリを記憶媒体に採用する。SSDは「HDD」(ハードディスクドライブ)と比較して、データの読み書きが高速な傾向がある。SSDを使用すると、デバイスのOSの起動やプログラムの読み込み、ファイルの保存を高速化しやすい。(続きはページの末尾にあります)
人工知能(AI)技術の活用が広がることを受けて、ストレージのニーズが一段と高まると考えられる。ストレージは今、どのような進化を遂げているのか。主要ベンダーの製品で具体的に見てみよう。
SeagateとQNAPの製品ポートフォリオが統合されることで、何が起きるか。両社は製品間の連携を強化することで、ユーザー企業にさらなる価値を提供しようとしている。
SSDの記録媒体と使われる「NAND型フラッシュメモリ」は、なぜ広く使われているのか。「NOR型フラッシュメモリ」との違いとは。昨今の技術進化も踏まえて紹介する。
オークランド戦争記念博物館が進めるAI技術の活用には、シャドーITなどの課題がある。そうした課題にどのような姿勢を示し、AI技術を活用した業務支援や来館者の体験向上の取り組みを進めているのか。
ニュージーランドのオークランド戦争記念博物館は、ストレージの刷新によって、400万点を超える収蔵品の保護、文化を保護するデータ活用に乗り出している。どの製品を導入し、どのような効果を得ているのか。
Pure Storageのストレージを従量課金で利用できる「Pure Storage Evergreen//One」を、オランダのIaaSベンダーが導入した。採用に至った背景と、コスト削減に期待する効果とは何か。
ストレージベンダーのNetAppは、ブロックストレージの製品群に新たなモデルや機能を追加した。運用しやすさやコスト効率を重視した3つの新モデルを追加する他、ランサムウェア対策機能を拡充する。
SSDベンダー2社が、2024年後半にSSD大容量化の進化を象徴する新モデルを発表した。SSDが一段と大容量化する背景にあるニーズと、大容量化に貢献する技術とは。
SSDベンダーのMicron Technologyは、汎用インタフェース規格に「PCIe 5.0」を採用したSSDを提供する。どのようなメリットと用途が見込まれるのか。
HDDはSSDに比べて容量当たりのコストが安く、当分の間は大規模ストレージシステムにおいてHDDが採用され続けると考えられる。こうした状況はどれくらい続くのか。
SSDの読み書きパフォーマンスを最適化して高速にする次世代のアーキテクチャがある。まだ広く使われているわけではないが、これからの普及が期待される仕組みだ。
データ量が増え続ける中で求められているのが、よりコスト効率よくデータを保存できるストレージだ。HDDやSSDのような既存のストレージ技術とは一線を画す、新しい発想のストレージとは。
情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを防ぎながら、従業員が安全にテレワークを実施するために、企業が講じるべき対策とは。押さえておくべき6つのポイントを解説する。
テレワークを採用する企業が広がり、自社データを守るための対策がより重要になった。どのような点に注意が必要なのか。テレワークで発生しやすい6つのリスクを解説する。
一般的なSSDの場合、読み書きパフォーマンスが幾つかの理由から低下してしまうことがある。パフォーマンスを高める仕組みと併せて、パフォーマンス低下の主な原因を2つ解説する。
SSD1GB当たりの平均価格は一時高騰したものの、その後下落が続いている。一方、SAS接続HDDについては、1GB当たりの価格が上昇しているようだ。その背景にある要因とは。
企業向けHDDの終焉(しゅうえん)が迫っているという見方が、現実味を帯びてきたとあるオールフラッシュストレージベンダーPure Storageはみている。その根拠は何か。
キオクシアが東京証券取引所プライム市場に上場した。SSD需要の浮き沈みや、同業ベンダーとの合併交渉が取り沙汰される中、同社の上場はどのような影響をもたらすのか。
HDDは、磁気ヘッドを搭載したアクチュエーターと呼ばれる機械式アームと、回転する磁気ディスクで構成されており、磁気でデータの読み書きをする。この構成は、各部品の故障につながる可能性がある。
SSDは、破損の可能性がある可動部品が存在しない。SSDは、NAND型フラッシュメモリと、データの読み書きを処理するコントローラーで構成されている。この構成は、連続したランダムなデータ読み書き要求に対して、高速な応答を実現しやすい。ただしSSDは、HDDに比べると高価になりがちだ。例えばSSDは、デスクトップPCやノートPC、コンピュータゲーム機、デジタルカメラ、デジタル音楽プレーヤー、スマートフォン、タブレット、USBメモリなどに搭載されている。
より高速なI/O(データ入出力)が可能なストレージへのニーズは衰えることはない。こうした中、SSDの開発やユーザー企業への導入が進んでいる。SSDはHDDよりも低遅延で、大量の読み取りやランダムアクセスを実行するアプリケーションのデータ処理を高速化しやすい。
高性能なサーバやデスクトップPC、ノートPC、リアルタイムでデータをやりとりする必要があるアプリケーションには、SSDが適している。企業向けのSSDは、例えば以下の目的で利用できる。
SSDは近年、企業向けストレージの改善手段として注目が集まっている。この傾向はSSDの容量当たりの価格の低下や、コンピュータの性能の向上が要因となっている。CPUのデータ処理速度は時代を追うごとに向上しているが、HDDの読み書き時間は大きな進展がない。現代のCPUは、HDDの読み書き速度をはるかに超えてデータを処理する。これによって生じる遅延を低減するために、HDDをSSDに置き換える動きがある。
HDDのユーザー企業は、ストレージを高速化するために、ショートストロークという手法で対処してきた。これは、磁気ディスクの最外周のみを使用することで磁気ヘッドの移動距離とトラック数を減らし、シーク時間(読み書き位置を移動させるのに必要な時間)を短縮する手法だ。ただしショートストロークで通常と同じ容量を確保しようとすると、より多くの磁気ディスクを積み重ねる必要がある。要求される性能は確保できるものの、経済的な解決策とは言えない。
一方でSSDはシーク時間が存在しないため、その分の遅延が抑えられる。特に記録媒体の特定の位置を指定してデータを読み書きするランダムアクセスでHDDより高速になる。ただし連続するデータを読み書きするシーケンシャルアクセスでは、SSDとHDDでランダムアクセスほどの差はない。
SSDと比較して容量当たりの価格が安い傾向にあるHDDは、アーカイブデータや大容量データの保管に広く使われている。一方でSSDベンダーは大容量のSSDを市場に投入しており、SSDは上述の用途でもHDDと競合する可能性が生じている。
SSDの進歩は容量の増加だけにとどまらない。ストレージインタフェースの「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)は、データ転送規格「PCI Express」(Peripheral Component Interconnect Express)に準拠したインタフェースを使用して、SSDとサーバのCPU間の通信経路を短縮する。これによってNVMeは、従来のSATA接続のSSDよりも低遅延で、高速なデータ転送を可能にし、アプリケーションのIOPS(1秒当たりの入出力処理数)を向上させる。
可動部(機械的な部品)を持たず、半導体メモリを使用してデータを保存するストレージ技術がソリッドステートストレージ(SSS)だ。SSSには、不揮発性のフラッシュメモリを使用するタイプと、揮発性のDRAM(Dynamic Random Access Memory)/SRAM(Static Random Access Memory)をキャッシュメモリや一時ストレージとして使用するタイプがある。フラッシュメモリにはNAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリの2種類が存在する。
NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリと比較して大容量で、シーケンシャルアクセスによるデータの読み書きが高速なため、一般的な企業向けストレージで使用される。NOR型フラッシュメモリはランダムアクセス方式によるデータの読み書きが高速で、産業用ロボットや家電などの特定の機能を搭載した組み込みシステムに主に利用される。両方とも不揮発性で、電源を切ってもストレージメディアのデータは保持される。
一方でDRAM/SRAMは揮発性で、データを保持するため常に電源供給が必要だ。DRAMはSSDのキャッシュメモリとして使用され、書き込みの速度向上や寿命延長に役立つ。SRAMは一般的にストレージ用途ではなく、CPUのキャッシュメモリとして使用される。
Storage Class Memory(SCM)と呼ばれる新しい種類のメモリも登場している。SCMはDRAMに近い高速なデータの読み書きが可能でありながら、不揮発性メモリであることが特徴で、SSDとDRAMの中間的な性能を持つ。SCMは大量のデータを高速で処理しなければならないアプリケーションに適する。