人工知能(AI)技術の活用が広がることを受けて、ストレージのニーズが一段と高まると考えられる。ストレージは今、どのような進化を遂げているのか。主要ベンダーの製品で具体的に見てみよう。
企業にとってデータ保存やデータ活用の重要性が増す中で、ストレージベンダーは、ハードウェアとソフトウェアの両面で技術開発を進めている。主要ストレージベンダーが力を入れている技術に、1つのメモリセル(記憶素子)当たり4bitを格納する「QLC」(クアッドレベルセル)がある。QLCのストレージやソフトウェアを含めて、2023年に主要ストレージベンダーが発表したストレージ製品を紹介しよう。
「2023年にリリースされたストレージを見ると、コストや機能の面でユーザー企業の『ビジネス』に貢献する製品が際立っている」。そう語るのは、調査会社Forrester Researchのアナリスト、ブレント・エリス氏だ。
エリス氏によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によってストレージ部品が調達しにくくなり、ベンダー各社は製品開発を進めにくい状況に陥っていた。2023年からは部品調達が正常な状態に戻りつつある他、新興のストレージベンダーによる技術開発が活発だと同氏は説明する。それを追い風に、2023年は以下の通り、さまざまな新製品が登場した。
NetAppは2023年2月、QLCのフラッシュストレージ「NetApp AFF C」シリーズの3製品「C250」「C400」「C800」を発売した。バックアップを主な用途としている。その他同社は2023年7月、QLCのフラッシュストレージアレイ「ASA C」シリーズを発売した。
Pure Storageは2023年3月、QLCのフラッシュストレージアレイ「FlashBlade//E」を発売。FlashBlade//Eは、高密度のデータ保存を重視した同社独自モジュール「DirectFlash」を採用している。Pure Storageは2023年6月に、QLCのフラッシュストレージアレイ「FlashArray//E」も投入した。
Huawei Technologiesは2023年9月、フラッシュストレージアレイ「OceanStor Pacific 9920」を発売。2023年11月には、コストを抑えることを重視したエントリー機種「OceanStor Dorado 2100」も投入した。
2023年はハードウェアに加え、ソフトウェアに関してもストレージの進化が見られた。
Dell Technologiesはストレージアレイの新製品は投入せず、ストレージ用ソフトウェア開発に力を入れてきた。
Hitachi Vantaraもソフトウェア開発に注力する方針を打ち出している。同社はソフトウェア定義ストレージ(SDS)製品である「Hitachi Virtual Storage Platform One」(VSP One)を注力製品としている。VSP Oneは大容量のデータ保存を可能にし、ブロックアクセス、ファイルアクセス、オブジェクトアクセスを提供する。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)はモジュール構造のストレージ「HPE Alletra Storage MP」シリーズに注力。HPE Alletra Storage MPシリーズはオブジェクトストレージやバックアップアプライアンス、分散ファイルストレージを提供する。オブジェクトストレージはScality、バックアップアプライアンスはCohesity、分散ファイルストレージはVAST Dataのソフトウェアを使用している。
IBMはソフトウェアを中心にして同社ストレージ製品を刷新することを明らかにしている。2023年3月にストレージのデータ保護機能を提供するソフトウェア「IBM Storage Defender」、2023年11月にはストレージシステム「IBM Storage Scale System 6000」を発売した。
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