HDD並みに安くなる「QLC」SSDでも“コスト優先”で考えてはいけない理由とは?風雲児「QLC」がもたらすストレージ革命【中編】

ストレージに投資する際、企業はオンプレミスのストレージでも、クラウドストレージでも自社の要件によって選択しやすい状況になりつつある。「QLC」といった新技術が台頭する中、求められる判断材料とは。

2023年05月15日 05時00分 公開
[Scott SinclairTechTarget]

 「QLC」(クアッドレベルセル)によって「SSD」の容量単価は抑制しやすくなる。QLCは、1つのメモリセルに4bitを格納する記録方式だ。こうした新たなストレージ技術は、オンプレミスのストレージとクラウドストレージのどちらに投資した方がいいのか、という判断に影響を与える。それを検討する際、判断材料になるのはコストだけではない。

「QLCの利点はコスト」という甘い考えに潜む落とし穴

併せて読みたいお薦め記事

連載:風雲児「QLC」がもたらすストレージ革命

ストレージ市場に迫る変化の兆候


 クラウドストレージは、必要に応じてすぐにリソースを確保できる点で非常にメリットが大きい。ただしクラウドストレージでSSDを利用する場合は注意が必要だ。扱うデータ量が大きくなるほど、クラウドストレージの利用料金はあっという間に想定以上になってしまう。

 SSDを使う場合、オンプレミスのストレージとクラウドストレージのどちらで使うのが適切なのか。この問いには慎重に答える必要がある。

 QLCは、SSDの容量単価をHDD並みまで下げることを目指した比較的新しいストレージ技術だ。そうした新技術をサービスとして迅速に提供する点において、クラウドベンダーは苦戦する傾向にある。そのため企業はオンプレミスのストレージでSSDを使う方が、投資効果を得やすいことがある。

 SSDの容量単価はQLCになることで抑制しやすくなるため、その点はオンプレミスのストレージに投資する企業にとって大きなメリットになる。だが企業は、何が最も重要なのかを考えなければならない。もし機敏性(アジリティ)が重要なのであれば、クラウドストレージを使う選択肢を捨ててはいけない。

 アジリティを追求する場合の答えが、クラウドストレージとも限らない。インフラの構成を、オンプレミスのデータセンターとクラウドサービスを連携させる「ハイブリッドクラウド」にしている場合は、オンプレミスのデータセンターにもクラウドサービスのアジリティをもたらしやすいからだ。例えばオンプレミスのストレージにQLCを採用して投資効果を高めつつ、クラウドストレージも併用してアジリティを高める、といった選択ができれば、双方の利点を取り入れることができる。

 結局のところ、インフラの価値を最大限に高める点において、アジリティを忘れてはいけない。それを踏まえて、オンプレミスのストレージがいいのか、クラウドストレージがいいのかを検討することが重要だ。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...