磁気テープはストレージの中でも特に古い。従来はメインストレージやバックアップストレージとして利用されてきたが、こうした用途は他のストレージへの置き換わりが進んでいる。それでもテープは記憶容量の大きさとコストの低さ、耐久性の高さといったメリットを持ち、アーカイブデータの保管に適した選択肢として、今でもユーザー企業の支持を集めている。テープはデータの検索やカートリッジの交換にかかる待ち時間が長くなりがちであり、メインシステムのストレージには適さない。アーカイブデータであれば、待ち時間が問題になることはまずない。そのためアーカイブデータを長期間保管する用途で、テープは広く利用されている。(続きはページの末尾にあります)
企業が新たなデータを保管し続ける中で、独自の立ち位置を築いてきたストレージが「テープ」だ。専門家によれば、テープの代替になり得るストレージは、現状では見当たらない。テープ独自の利点とは。
大容量の動画データを保管する場合、コストや管理方法など幾つかのポイントを軸にして検討するとよい。テープに対して、クラウドストレージにはどのようなメリットがあり、何に注意すべきなのか。
日々さまざまなデータを扱う中で、企業が保管するデータは増える一方だ。こうした中でデータ保管用のストレージとして進化を続ける「テープ」の注目点を紹介する。
ある企業がテープバックアップからディスクバックアップに移行した。コスト的なメリットは得られなかったものの満足しているのはなぜか。同社が解決したかったものとは何か。
サーバ仮想化やクラウド、フラッシュストレージなど、企業のデータ保護を取り巻く状況は変化を続けている。従来型のバックアップ製品や手法は今でも有効なのだろうか。その実態を探る。
ストレージクラフトがWindowsシステム向けで定評のあるバックアップ/リカバリ製品のLinux版を発表。同時に日本でのビジネス戦略を発表した。
2014年に入り、富士フイルムやソニーなどが磁気テープの新技術や新製品を相次いで発表している。ディスクに置き換えられる運命だと思われたテープが再び脚光を浴びた理由とは?
企業の内部統制やコンプライアンス対策を推進する際に重要な意味を持つ「アーカイブ」。本稿では、ストレージのアーカイブ機能を解説したホワイトペーパーを紹介する。
EMCジャパンがバックアップストレージの3つ新機種を発表。中堅・中小規模システムを対象にテープバックアップからの移行促進を狙う。
日本HPがテープライブラリの最上位機種を7年振りに刷新した。仮想パーティションやプール機能などで拡張性を高め、最小100スロットからのスモールスタートも可能。
バックアップ/リカバリの専門家が、VMware、重複排除技術、テープなど、幾つかのキーワードに絡めて2010年を振り返り、2011年を展望した。
日本クアンタムストレージが、VTLアプライアンスの新製品を発表。最大3.5Tバイト/時のバックアップ性能、最大56Tバイトの使用可能容量を提供する。
日本HPが仮想テープライブラリの新製品と、「低帯域レプリケーションライセンス」による遠隔データバックアップソリューションを発表。限られた予算でも実現可能な「ディザスタリカバリの第一歩」だという。
日本アイ・ビー・エムは、インターネットを介してデータのバックアップが行える新サービスを発表した。保管データ量によって料金が決まる従量制の課金モデルを採用しているのが特徴だ。
PCのHDD障害時に読み出せなくなったデータの復旧を行う「データリカバリサービス」および情報漏えいを防ぐ「HD返却不要サービス」の提供を開始
メールなどのデータを安全に保管して活用、短期間で日本版SOX法への対応を可能にする「HP Integrated Archive Platform」を発売
サーバの基本機能に特化することで開発コストを抑えた「HP ProLiant」の新機種「HP ProLiant DL180」2モデルを発売
従来比2倍のデータ記録が可能なほか、バンドルされるバックアップソフトによってLTO-4の暗号化機能をすぐに利用可能
目的のデータに直接アクセスするランダムアクセスの速度では、テープはSSDなどのフラッシュストレージやHDDにかなわない。しかし一部の業界は、依然としてテープを有用なストレージとして評価している。
例えば映画制作会社は、フラッシュストレージやHDDを利用するとコストの高騰が課題となるため、自社の映像をテープで記録していることがある。石油・ガス業界では、データの取得や移送、保管にテープを用いている企業は珍しくない。テープカートリッジは、石油の探鉱現場から、地理的に離れたデータセンターへとデータを移送するのに適したメディアだからだ。
テープはフラッシュストレージやHDDよりも容量単価を抑えやすい。そのため大容量かつ長期にわたるバックアップストレージやアーカイブストレージとして有力な選択肢になる。記録容量やデータ書き込み速度といったテープの性能は、向上を続けている。テープのオープン規格である「LTO」(Linear Tape-Open)は、通常2、3年ごとに性能が向上した新しいバージョンが登場する。
IT業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)は、「LTO-7」準拠のテープがデータを50年以上保存できると推定している。その耐久性から、アーカイブデータのストレージにも適している。簡単に移動させることができることもテープの強みだ。災害復旧(DR:ディザスタリカバリー)の際には、バックアップデータを記録したテープが、被災したデータセンターから十分に離れた距離にあれば、これを復旧に用いることができる。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を防止する際に、テープがオフラインであることは大きな強みになる。ネットワークに接続されていないテープにサイバー攻撃を加えることは難しい。テープの安全性は、この点でクラウドサービスを超えるとの見方がある。市場にはクラウドベンダーのデータセンターにバックアップデータを格納できるクラウドサービス(クラウドバックアップ)が存在するが、インターネットに接続されている点で、テープよりもサイバー攻撃に遭いやすいからだ。
データの復旧速度は、テープよりもHDDの方が総じて早い。そのためHDDはバックアップに望ましい媒体としてテープに取って代わった。HDDはランダムアクセスがしやすいので、特定のデータを探すプロセスが迅速になる。
HDDを用いたバックアップ製品では、リアルタイムでバックアップを実施するのが一般的だ。一方でデータの読み取り速度や書き込み速度が低いテープのバックアップ頻度は低く、1日単位になることも珍しくない。そのため直近のバックアップをテープで取得するのは適切ではない。