Column
「ラスト サムライ」の運命を回避するIT利用法とは
どんなに鍛錬を重ねたサムライでも、ガトリング砲に太刀打ちできなかった。自社がサムライのごとく技術の進歩の前に滅びることを避けるために、ITリーダーはどうしたらいいのだろうか?
先日CATVで「ラスト サムライ」の最後のアクションシーンを見て、わたしはギクリとした。サムライは侵入軍に対抗し、熱いナイフでバターを切るかのごとく、見事な刀さばきを見せている。だが、まもなく侵入軍はガトリング砲での砲撃を開始する。弾丸を連射するという新技術は、とうていサムライが太刀打ちできるものではない。
このシーンを見て、わたしはITリーダーとしてのわれわれの能力について考えさせられた。今のビジネスモデルを「時代遅れ」にするような新技術は、すぐ間近に迫っているのだろうか? もしそうであるなら、われわれITリーダーは組織をそうした変化に迅速に適応させることができるだろうか?
ITスタッフの間で開発すべき最も重要な能力は、適切な技術進歩を迅速に選択し、実装する能力だ。どうしたら自らの役割を全うし、俊敏(アジャイル)で適応性のあるITを実現できるだろうか?
1800年代のサムライと同じく、ITは今、緊急事態に直面している。
わたしが加入しているCATVシステムに最近オンデマンドサービスが導入されたので、大いに活用している。今では、映画を見るときには、退屈な会話部分を早送りで飛ばし、アクションシーンまで一気に進めることもできる。わたしはちょうど最近、「ラスト サムライ」を見た。会話シーンを飛ばし、アクションシーンまで早送りしながら、2時間強の映画を35分で見終えた。
あるアクションシーンを見て、わたしはギクリとした。サムライは何世紀もかけて戦術を熟達させてきた。サムライは鍛錬を重ね、腕を磨き上げ、日本の政治機構に直接影響を及ぼしてきた。ラスト サムライの最後のアクションシーンでも、サムライは侵入軍に対抗し、熱いナイフでバターを切るかのごとく、見事な刀さばきを見せている。だが、まもなく侵入軍はガトリング砲での砲撃を開始する。弾丸を連射するという新技術は、とうていサムライが太刀打ちできるものではない。
このシーンを見て、わたしはITリーダーとしてのわれわれの能力について考えさせられた。今のビジネスモデルを「時代遅れ」にするような新技術は、すぐ間近に迫っているのだろうか? もしそうであるなら、われわれITリーダーは組織をそうした変化に迅速に適応させることができるだろうか?
緊急事態
わたしは次のような経験をいやというほどしたことがある。経営陣の会合に出席すると、新規のビジネスラインや主要な取り組みについて話し合うことになるが、そうした場合、新規プロジェクトの意味するところを考えて、うめき声を上げたくなることが多い。結局のところ、ITは組織の達成能力を最大限に引き出せないか、阻むかのいずれかで、つまり、われわれには変化を続けるビジネスニーズに迅速に適応する能力が欠けているということに気付かされるからだ。
そして今後、技術進歩のペースが加速するにつれ(進歩は新たな進歩を引き起こし、その進歩がさらに新たな進歩を引き起こす)、こうした状況がさらに頻繁に生じるのではとわたしは危惧している。おそらく、わたし自身、そしてわたしのスタッフの間で開発すべき最も重要な能力は、適切な技術進歩を迅速に選択し、実装する能力だろう。わたしは自らの役割を全うし、俊敏(アジャイル)で適応性のあるITを実現できるだろうか?
アジャイルでいるための合理化
よりアジャイルなITを実現したいのであれば、以下の2つのことをしなければならないだろう。まず、現行のシステムとプロセスを簡略化し、合理化する必要がある。われわれはこれまで、システムにあまりに多くの複雑な要素を組み込んできてしまったため、今後はそうした複雑さを最小限に抑えていく必要がある。今後は、誰かからシステム強化のリクエストを受けるたびに、それがアプリケーションとインフラを合理化するためのチャンスとなる。
例えば、われわれは数年前に多次元の複雑な価格設定エンジンを構築したが、最近、販売部門がこのエンジンのアップデートを依頼してきた。そこで、このエンジンがどの顧客にどのように適用されているのかを分析してみたところ、最も取引の少ない顧客が同エンジンの最も複雑な要素を利用しており、その一方で、上顧客の購入ルールは非常にシンプルなものであることが分かった。その結果、われわれは同エンジンの大半を除去し、今ではシンプルな価格ルールを使用している。
もう1つ必要なのは、各種の技術をテストし、それらの技術のうちどれが自社にプラスとなるのかを迅速に判断するためのプロセスを確立することだ。このプロセスには、われわれが見逃しがちな用途を理解しているであろうビジネスユーザーも含める必要がある。ビジネスユーザーはカンファレンスに参加したり、ソフトウェアベンダーと会談して製品のロードマップを話し合ったりできる。
どの技術を選択し、実装するかが重要だという、わたしのこうした考えが正しいのであれば、おそらくわれわれはサムライの運命を回避できるだろう。われわれは、自分たちが技術を追い越す時代を楽しみに期待できる。そのうえ、こうしたアプローチを取れば、これまで何年間もわれわれをいら立たせてきたレガシーシステムの一部を始末することもできるはずだ。
本稿筆者のニール・ニコライセン氏はユタ州サウスジョーダンに拠点を置くエネルギー/建設資材ベンダー、ヘッドウォーターズの戦略的計画担当副社長で元CIO。
(この記事は雑誌「CIO DECISIONS」2月号に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー