Webカメラやソフトウェアを利用した監視が横行している。労働者の3人に1人が何らかのデジタル監視の対象になっているという。企業の監視ツール利用を法的に規制するときがきたのかもしれない。
監視ツールには「人間分析」「ボスウェア(bossware)」「タトルウェア(tattleware)」「不快な技術」など多くの呼称がある。労働者の監視は新しい概念ではないが、テレワークやハイブリッドな働き方に呼応して登場した監視ツールが重要な問題になりつつある。
メタバースに向かうMicrosoftの動きは、完全な没入型エクスペリエンスを約束する。だがこの動きには、前例のないレベルの管理と監視への扉を開く可能性があるという見方もある。
労働組合員と話したところ、ここ1年で監視カメラ、位置追跡、仕事割り当てソフトウェアの導入例が増えた。これらがプライバシーや健康にどのように影響するかについて、全く相談や考慮がなされずに導入されることが多いという。安全確保を目的に収集したデータが、業績に対する懲戒委員会に提示されることもある。配送ドライバーからテレワーカーまで、監視は仕事におけるニューノーマルになりつつある。
Prospect UnionとOpiniumの共同アンケート調査の結果、労働者の3人に1人(6カ月前は4人に1人)が何らかの形でデジタル監視の対象になっている。テレワーカーの場合はこの変化がもっと顕著で、2021年4月から10月の間に監視カメラの監視対象になったテレワーカーは2倍以上(5%から13%)増えている。
監視技術への反発も明らかにされた。労働者は、テレワーカーを監視するWebカメラの使用を禁止すべき(52%)または厳しく規制すべき(28%)と考えている。
Prospect Unionは、積極的な同意なく企業がWebカメラで自宅を監視することを明示的に違法にすべきだと主張する。
近年、世界はデータを収集して処理することの重要性に目覚めた。それは医療に革命を起こすなどの機会を生み出すが、新たな形態の金融犯罪などのリスクも生じる。
政府はデータの使用を規制しようと努めている。その典型的な例がGDPR(一般データ保護規則)だ。
個人データに対する権利は多くの注意が払われているとしても、労働者としての権利については無視されていると言っても過言ではない。
2020年、利用者をスコアリングするためにデータを収集する機能をMicrosoftが生産性ツールに追加したことが論争を呼んだ。キャンペーンの参加者や労働組合の反発を受け、Microsoftはこのツールを即座に変更した。
Prospect Unionの調査では、職場に新しいITツールを採用する場合、それについて労働者と相談や議論をする法的義務があるとされているにもかかわらず、それがなされていないことが示された。
Prospect Unionは、他の労働組合、プライバシー活動家、法務の専門家と共同で、企業が法的義務と労働者のデータを使用できる合法的根拠を認識できるように、もっと明確な方向性が必要だと主張している。既存の法的保護を適切に組み込んで実施することは出発点としては素晴らしいが、それで終わりではない。
データの収集とAIが業務に組み込まれ、人材採用から業績管理まであらゆるところに使われるようになるにつれ、労働者が利用できる法的保護を見直す必要がある。仕事に関する決定は、生活に影響を及ぼす重要な要素の一部だ。監視技術に対する権利の明確な声明が存在しないのは適切ではない。
監視技術の進化に遅れずに対応するため、デジタル社会における労働者の権利に関する声明を更新する必要があるとProspect Unionは主張する。権利の声明により、職場でのアルゴリズムの使用からテレワーカーを監視する際の適切な限度まで、あらゆるものが統治される。
一つ明らかなのは、21世紀の技術に対して20世紀の権利を労働者が使い続けることはできないということだ。今こそ、データの権利を最新のものに改め、デジタル技術の競争の場を平準化するときだ。
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