NECフィールディングは中小企業向けコールセンターASPサービスの連携CRMにMicrosoft Dynamics CRMを選択した。その理由とは? 既にコールセンターを運営している企業にも参考になる事例だ。
NECフィールディングには1957年の創立以来、顧客企業に密着したフィールドワークにより築き上げてきたITサポートノウハウがある。これを強みとして解決力のあるコールセンター業務を展開し、この領域をさらに発展させたいと常々考えていた。その一方で、同社はインターネットデータセンター(iDC)事業も営んでいる。昨今は競合となるiDC事業者が増えたことから、同社のiDCを差別化するサービスメニューの追加を模索していた。
そのようなとき、同社は米CosmoComのフルIPマルチテナント対応のASP向けコールセンターシステム構築用ソフトウェア「CosmoCall Universe」と出会う。この出会いをきっかけに、同社は中小企業向けコールセンターASPサービスの事業化を決断する。それは、同社のコールセンター構築ノウハウとiDCインフラを同時に生かせる新規サービスビジネスだった。名称は「インターネット越しにRequestを受けるコールセンター」という意味を込めて、「iReqCC」と名付けられた。
近年、コールセンター業務はCRM(Customer Relationship Management)活動と密接に結びついている。電話をかけてくる顧客の属性や購入/利用履歴に合わせた、きめ細かい対応が求められているからだ。
当初NECフィールディングでは、CRM機能については顧客企業が既に導入している製品と連携させる予定だった。しかし、実際に引き合いを受けてみるとCRMソフトウェアを導入していないケースが多々あり、「CRM機能を持つ製品を紹介してほしい」「できればサービスとして一緒に提供してほしい」という声が数多く寄せられた。そこで、同社プラットフォームサービス事業推進本部 システム保守・運用推進部、マネージャーの篠原英明氏は、CosmoCall Universeと連携させて提供できるCRMソフトウェアを探すことにした。
市場にCRMソフトウェアは数多く存在する。篠原氏もまずは有名な製品を当たってみたが、月額利用料モデルで提供するにはあまりにも価格が高額だった。ライセンスフリーの製品もあったが、それではテクニカルサポート面が心配だ。そうした中、有力候補製品として浮上したのがマイクロソフトの「Microsoft Dynamics CRM」だった。画面イメージや機能を詳細に検討した結果、篠原氏は採用を決定するのだが、その理由は大きく3つあるという。
1つ目は、コストパフォーマンスだ。高額なソフトウェアでは価格を利用料モデルに配分しても、どうしても高止まりしてしまう。それでは顧客が気軽に使ってみようという気にはならない。ソフトウェア自体が安価であることは非常に重要だった。
2つ目は、使い勝手である。NECフィールディングが用意したシステムを顧客がネットワーク越しに利用するのだから、直感的に操作できなければならない。その点、Microsoft Dynamics CRMは画面が分かりやすく、Office製品感覚で利用することができた。「この『Office感覚で利用できるCRM』という点が、ユーザー企業へお勧めする際にも大きな訴求ポイントになると考えました」(篠原氏)
3つ目は、CosmoCall Universeとの親和性だ。パラメータを1つ追加すれば、Microsoft Dynamics CRMと簡単に連携させることができた。依頼を受けてから迅速にサービスを立ち上げるには最適の組み合わせだったという。
既に市場でシェアを獲得しているCRMソフトウェアに比べると実績がないのは懸念材料だったが、今回のサービスで最も重要だと考えたのは「エンドユーザーから受け付けた問い合わせの内容をきちんと格納し、検索できる」ということだった。その機能については問題なく動くことが検証できたために、連携ソフトとしてMicrosoft Dynamics CRMを選ぶことにしたという。
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