ユーザーのデータを暗号化して身代金を払えと脅すランサムウェア。金を払う以外の効果的な対処法を幾つか紹介する。
金曜の午後6時。あなたがいそいそと帰り支度をしていると、電話が鳴る。会社のCEOからだ。出張から戻って取締役会に出席してきたところだが、その場で取っておいたメモにアクセスできないというのだ。
ノートPCの画面に変なメッセージが表示されているから見に来てほしいとCEOは言う。あなたは問題が簡単に解決することを祈り、ディナーと映画を完全にはあきらめていない。だが、その希望的な思いは、すっかり憂うつな気分に変わってしまう。画面上には次の言葉が表示されていたのだ。
「あなたのファイルはRSA-1024アルゴリズムで暗号化されている。復元するには、われわれの復号ツールを購入する必要がある。購入注文は下記まで」
あなたの会社は「ランサムウェア(ransomware)」のえじきになったようだ。ランサムウェアは、最近注目されているトロイの木馬型マルウェア。「クリプトウイルス」とも呼ばれ、一般的なマルウェア感染経路でコンピュータに感染し、卑劣な不意打ちを食わせる。具体的には、ウイルス作者だけが知る暗号鍵を使って、システム上のユーザーファイルの多くまたはすべてを暗号化する。さらに、被害者に対し、上記のようにファイルを取り戻すための復号鍵と引き換えに、マルウェア作者への“身代金”の支払いを一方的に要求するメッセージを表示する。
ランサムウェアは決して新しいものではない。実際、12年前の1996年にコロンビア大学とIBMのセキュリティ専門家が書いた論文「Cryptovirology: Extortion-Based Security Threats and Countermeasures」(クリプトウイルス学:脅迫型のセキュリティ脅威とその対策)では、ランサムウェアの概念が明確にまとめられている。
しかし、2008年半ばに登場したランサムウェアは威力を増している。それまで、ほとんどのランサムウェアは、弱い、あるいは欠陥のある暗号アルゴリズムを使っていたため、ウイルス対策研究者が最終的にその解読に成功していた。さらに、ランサムウェアはかなり珍しかった。ほんの1年前にセキュリティ専門家のエド・スコウディス氏は、SearchSecurity.comのQ&Aコーナーで、「こうしたランサムウェア攻撃が発生しているのは確かだが、今のところあまり見掛けない」と述べていた。だが2008年半ばに、解読できない初のランサムウェアとみられるものが出回っていることが明らかになり、状況は変わったことが分かった。この最新のランサムウェアは「Gpcode」と呼ばれており、強力な1024ビットRSA暗号を使っているもようだ。本稿執筆時点で、研究者はその暗号アルゴリズムについては、リバースエンジニアリングのヒントとなる欠陥をまだ発見していない。
では、CEOから冒頭のような恐ろしい電話がかかってきたらどうすべきか。効果的な対処法を幾つか紹介しよう。
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