日立製作所が2010年9月に発表したディスクアレイシステムの新製品「Hitachi Virtual Storage Platform」。ストレージ階層の仮想化・自動化機能やシステムの拡張性などが強化された。
日立製作所(以下、日立)は2010年9月、ハイエンドディスクアレイの新製品「Hitachi Virtual Storage Platform」(以下、VSP)をリリースした。VSPは、最大搭載HDD数1024台(3.5インチ型ドライブ)、キャッシュメモリ最大容量512Gバイト。コントローラーの強化によってプロセッサーのデータ処理量を平準化でき、従来製品と比較してシステム性能を約2.3倍向上させた。
同社はストレージ製品をICT事業の中核として位置付けており、「Data Drives Our World(データは世界を動かす)」というビジョンの下、ストレージソリューションの高付加価値化とサービス化を積極的に推し進めている。VSPは「仮想化・自動化」「クラウド対応」「環境配慮」という3つの領域において、旧製品と比べて大きな進化を遂げているという。
また、これらのキーワードは同社が提唱するITプラットフォームの将来像と密接に関係している。同社ではIT基盤の将来像を「One Platform for All Data(すべてのデータを単一プラットフォームで)」というビジョンで表現している。そして同社が提供するハイエンドディスクアレイ製品はそれを実現するものとして位置付けられている。
ハイエンド環境向けディスクアレイシステムを紹介する連載の第2回は、先に挙げたキーワードを踏まえて日立のVSPの特徴を紹介する。まずは、VSPの“仮想化・自動化”機能について見ていこう。
日立は2004年、ディスクアレイ上にストレージ仮想化機能を搭載したハイエンド向け製品「Universal Storage Platform」を発表している。ストレージの仮想化を実現する方法としてサーバやスイッチなどに仮想化機能を持たせた製品もあるが、同社はディスクアレイ上にストレージ仮想化機能を実装することにこだわりを持っているという。その理由について、同社のRAIDシステム事業部 事業企画本部 製品企画部 部長 大枝 高氏は、次のように説明する。
「ディスクアレイは大容量のキャッシュメモリや独自の内部ネットワークを活用してストレージ仮想化を行うため、サーバベースのストレージ仮想化と比べて、高い性能とスケーラビリティを発揮できる。またサーバやスイッチをベースにした仮想化ではボリュームコピーなどの機能が使えなくなることもあるが、ディスクアレイ上で仮想化を行う方式であれば、それらの機能を問題なく使うことができる」
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