将来有望な有機EL照明に関する国内有力特許の調査結果がまとまった。なかでもコニカミノルタホールディングスと富士フイルムの特許総合力が強いという。
特許分析ソフトウェア開発や特許分析情報提供を行っているパテント・リザルトは、2011年12月6日、有機EL照明関連の日本国内の特許の評価結果を発表した。特許ごとの注目度を重み付けして点数化する同社のパテントスコア技術を適用し、企業名別に独自の評価をしている。
有機EL照明は、白色有機EL素子を使った照明。面光源を自然に実現でき、点発光で拡散性の乏しいLED照明よりも目に優しいとされる。LED照明よりも適用範囲が広いため、多くの照明メーカーでは、今後、LED照明よりも有機EL照明の方が市場が大きくなると予想している。
白色有機EL素子は、厚さ0.1μm程度の有機物からなる発光層を電極などで挟み込んだ平面構造を採る素子である。三原色に相当するRGBの各層を積層し、低電圧を印加することで白色に光る。有機ELディスプレイとは異なり、画素や、画素を制御するTFTなどは備えていない。このため、有機材料や電子注入の手法、積層構造、積層手法などが重要になる。
パテント・リザルトによれば、有機EL照明の特許総合力に優れた5つの企業や団体は、上位から順に、コニカミノルタホールディングス、富士フイルム、住友化学、半導体エネルギー研究所、出光興産だという(図1)。
出願件数だけでなく、同社独自の基準による個々の特許に対するスコアリングで特許の質も評価した。パテントスコアとは、市場における特許の注目度を数値化した指標。ここでは、特許審査官の引用が多いことや、出願した企業が権利化に対して意欲が高いこと、競合会社からの無効審判を跳ね返した実績がある場合に、高いパテントスコアを与えている。
パテント・リザルトによれば、上位にある国内3社に着目すると、それぞれ以下のような特許が注目を集めているという。
コニカミノルタホールディングスは、「平滑性が高い透明導電性フィルム」や「高輝度で演色性に優れた有EL素子」に関する特許が挙がる。同社は出願件数、パテントリザルトが定義した総合力が共にトップだった。2000年代前半から出願件数が急速に伸び、2005年にピークに達して、年間100件となったという。
富士フイルムは「高輝度で耐久性に優れた有機電界発光素子」や「高い発光効率で青色領域の発光が可能な発光素子」が注目を集めている。2009年以降に急速に出願件数が伸びており、国際出願や早期審査の割合が比較的高いことから、パテントリザルトは権利化への意欲が高いと判断した。
住友化学の注目特許は「低電圧駆動、高輝度の有機EL素子」や「均一性に優れた発光層を形成できる高分子材料」などである。
なお、パテント・リザルトは、今回の分析について詳細にまとめた複数のリポート資料を販売している。
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