2011年、仮想化で最も読まれたホワイトペーパーは? ~ベスト10発表ホワイトペーパーレビュー

仮想化に関するホワイトペーパーの中から、2011年にダウンロード数が多かった上位10コンテンツを発表。上位にはサーバ仮想化の導入・構築、運用管理に関するホワイトペーパーがランクインしている。

2012年01月10日 09時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパンでは、ホワイトペーパーダウンロードセンターでITベンダー各社が提供するホワイトペーパーを公開している。

 今回は、2011年(2011年1月1日~12月31日)における仮想化に関するホワイトペーパーのダウンロード数ランキングトップ10を紹介する。なお、上半期(2011年1月1日~6月30日)のダウンロード数ランキングは「2011年上半期ホワイトペーパーランキングベスト10 ~仮想化」をご覧いただきたい。

2011年1月1日~12月31日のホワイトペーパーダウンロード数ランキング(仮想化)
順位 ホワイトペーパータイトル 提供ベンダー
1位 【事例】物理サーバの抑制と、将来的なシステム拡張にも対応できる仮想化インフラ構築を実現した盛岡市事例 デル
2位 誰でも手軽に確実に! 「Hyper-V 2.0インストール手順書」 ~こんなに簡単! Hyper-V 2.0環境構築 NEC
3位 その仮想環境、実は無駄だらけ!? 物理環境とは異なる、仮想環境特有の運用ポイントとは? マクニカネットワークス
4位 VMware環境上のOracleデータベースのベストプラクティスガイド ヴイエムウェア
5位 Linux標準のオープンソースハイパーバイザ「KVM」。注目のベンチマークを公開 レッドハット
6位 VMware環境での効率的なバックアップ運用にはコツがある EMCジャパン
7位 クラウドコンピューティング導入状況分析結果 ヴイエムウェア
8位 仮想化データセンター/クラウドに必要なネットワークの要件とは? ブロケード コミュニケーションズ システムズ
9位 VMwareが選ばれる7つの理由 NEC
10位 徹底検証! ディスクI/Oから見たデスクトップ仮想化のテスト結果を公開 ~VMware View編 デル

 以下、1位から10位までを簡単に振り返ってみたい。

サーバ仮想化の構築・運用管理に関するホワイトペーパーが人気

 1位、2位と上位を占めたのはサーバ仮想化導入・構築に関するホワイトペーパーだった。1位に選ばれたのは岩手県盛岡市のサーバ仮想化の事例だ。盛岡市は2010年6月に「VMware vSphere 4.0」でサーバ仮想化のシステム構築を開始し、同年9月末に本番環境を稼働。短期間でサーバ仮想化を導入した。このホワイトペーパーには、盛岡市がサーバ仮想化に至るまでの過程、製品・ベンダー選びのポイント、サーバ仮想化による効果、今後の展望が書かれている。2位は、NECのPCサーバ「Express 5800」にHyper-V 2.0をインストールし、仮想マシンを構築するまでの手順を紹介している。環境構築時につまずきやすいポイントを指摘する他、インストール手順をスクリーンショットとともに分かりやすく紹介するなどの工夫もダウンロードされた理由だろう。

 続いて3位、4位、飛んで6位にランクインしたのはサーバ仮想化の運用管理に関するホワイトペーパーだ。3位では、仮想環境特有の考慮すべきポイントを押さえながら、仮想環境を最適化する手段の1つである“利用可能な仮想マシン数の算出方法”を5段階のプロセスを通じて解説している。ホワイトペーパーによると、「仮想環境は一見上手く運用できているように見えても実は無駄だらけであるケースが多い」のだという。「既存のホストサーバに新規で仮想マシンを追加してもパフォーマンスに問題が起こらないかどうか」「どのホストにVMを追加するのが最適か」など、実運用に特化した課題を掘り下げて解説している点が魅力といえる。

 4位では、VMware vSphere 4の環境にOracle Databaseを展開するためのベストプラクティスやガイドラインを紹介している。例えば、Oracle Databaseは多くのメモリを使用するため、ホストサーバとゲストOS間でカーネルスワッピングを起こさないように、VMwareが推奨するプラクティスを紹介している。また、ホワイトペーパーによると「実際のワークロードを監視して、vCPUを追加してもOracle Databaseにメリットがないことが判明した場合、過剰なvCPUによりスケジューリングの制約が発生し、仮想マシンの全体的なパフォーマンスが低下する可能性がある」という。そのような場合を想定したvCPUに関連するベストプラクティスなども紹介している。

 6位では、VMwareソリューションおよびHyper-Vソリューションで仮想環境のプランニング、設計、管理をしている人を対象に、各仮想環境のレプリケーション方法を紹介している。レプリケーションは、リアルタイムのバックアップ/リカバリを実現する手段として注目だ。

製品の比較・検証に関してはKVMのホワイトペーパーが1位

 仮想化製品の比較・検証に関しては、5位、7~10位にランクインした。5位では、仮想環境でオープンソースソフトウェア(OSS)を利用するメリットと、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストの結果を公開している。仮想化製品のシェアでVMwareなどの商用製品が先行しているが、Red Hat Enterprise LinuxがKVMを正式サポートしたことによって、ホストOSとしてLinux、ハイパーバイザーとしてKVMを利用し、仮想化環境を構築しようと考える企業も増える可能性がある。そうした企業にとって役に立つホワイトペーパーだ。

 9位では、VMware ESXを中心にVMware製品のメリットとして「実績」「導入」「運用」など7つのポイントを紹介している。このホワイトペーパーの見どころは、Hyper-V R2とのコスト比較だ。

  1. 物理サーバ30台を仮想化した場合(共有ストレージなし)
  2. 物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vMotion&HA構成)
  3. 物理サーバ20台を冗長構成で仮想化した場合(VMware vSphere 4 FT構成)

といった3つのケースでHyper-V R2とのコストを比較している。

 10位は、今回唯一のデスクトップ仮想化に関するホワイトペーパーだ。東日本大震災以降、事業継続性が再認識され、その手段としてデスクトップ仮想化が注目された。デスクトップ仮想化の導入で重要なポイントであるストレージのサイジングについて、デルがEqualLogic SANの性能特性テストを実施した。また、ストレージサイジングのガイドラインやベストプラクティスもまとめて紹介している。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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