ASBJは議論となっていた開発費の資産計上について、連結財務諸表、単体財務諸表とも現行の費用処理を継続する方針を打ち出した。
企業会計基準委員会(ASBJ)は1月10日に開催した第235回委員会で今後のコンバージェンス作業の方向について議論した。議論となっていた開発費の資産計上については、連結財務諸表、単体財務諸表とも現行の費用処理を継続する方針を打ち出した。のれんの非償却についても連単とも見送り、現行の償却処理を継続する方針を示した。
ASBJは日本経団連や日本公認会計士協会、東証などとIFRSの今後の開発についての意見を取りまとめ、2011年11月に国際会計基準審議会(IASB)にアジェンダ・コンサルテーションとして提出していた。今回の第235回委員会での方針表明はこのアジェンダ・コンサルテーションに提出した意見を反映させた内容だ。
第235回委員会では開発費の資産計上について、これまで寄せられたコメントなどから「現状では、連結、単体ともに会計基準を改正することのコンセンサスが十分には得られていない」と指摘。「当面、現行の費用処理を維持することとしてはどうか」と提案した。
またIFRSが行っている、のれんの非償却についても同様にコンセンサスが得られていないとして連単とも「現行の償却処理を維持することとしてはどうか」とした。
一方、退職給付会計の「退職給付ステップ1」は、公開草案で示した連結財務諸表への未認識項目の負債計上について「比較的異論が少ない」として、「改正する方向で検討を行ってはどうか」と提案した。単体財務諸表への適用については現行の処理を継続する考えを示した。適用時期については別途検討する。
既に連結財務諸表に対して適用されている包括利益表示の単体財務諸表への適用については、「市場関係者の中から強い懸念が表明」されているとして、当面は現状を維持し、適用しない方針を示した。
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