ID管理の効率化に役立つのが「ID管理製品」である。一口にID管理といっても、製品の種類によってその効果は大きく異なる。主要なID管理製品の導入効果を検証する。
ID/パスワードの効率的な管理を可能にする「ID管理製品」が充実しつつある。一度の認証で複数システムにログイン可能にする製品から、システム管理者権限を制限できる製品まで、ID管理製品の種類は幅広い。
本稿は、主要なID管理製品として「統合ID管理製品」「シングルサインオン(SSO)製品」「特権ID管理製品」を取り上げ、それぞれのメリットや注意点を解説する。
ID/パスワードを個別のシステムで管理するのではなく、単一のポリシーに基づいて管理可能にするのが統合ID管理製品である(参考:【製品動向】クラウド化や管理性向上が進む「統合ID管理」)。複数の社内システムに存在するIDやアクセス権限を一元管理し、IDやアクセス権限の変更内容を各システムへ反映する「ユーザープロビジョニング」機能が主要機能だ。
統合ID管理製品を導入すれば、今まで個別のシステムに対して実施していた新規IDの登録や変更、削除といった処理を一括して実施できる。人事システムと連係させることで、人事異動に合わせてIDに対する変更作業を自動実行することも可能だ。
LDAPなどの標準的な外部連係プロトコルを採用しているシステムであれば、基本的には統合ID管理製品で管理できる。一方、手組みのシステムなどで特殊な連係手法を採用している場合、アダプターの開発に工数が掛かることもあるので注意したい。
1組のID/パスワードで複数のシステムを利用可能にするのがSSO製品だ(参考:【製品動向】「付せんでID管理」を一掃するシングルサインオン)。従業員にとって、大量のID/パスワードを覚えたり管理する必要がなくなるという利点がある。覚えきれないID/パスワードを付せんに書いて机に貼るといった、危険な行為を防ぐ効果も期待できる。
SSO製品には、社内のWebアプリケーションのSSOに特化した「Webアクセスマネジメント製品(WAM)」、WAMとの組み合わせでクラウドサービスへのSSOも可能にする「IDフェデレーション製品」がある。日本オラクルの「Oracle Enterprise Single Sign-On Suite Plus」など、ログイン画面への入力自動化機能を備えることで、クライアント/サーバ型アプリケーションもSSOの対象にできる製品もある(参考:スマートフォンやSNS認証もそろえた日本オラクルのSSO製品群)。
SSOの注意点としてよく指摘されるのが、従業員のID/パスワードが第三者に渡ると、その従業員が利用できる多くのシステムにアクセスできてしまうことだ。これについては、システム管理者のID/パスワードであれば話は別だが、適切な権限付与やアクセス制御がなされていれば、1従業員のID/パスワードが漏えいしてもシステムの根幹に影響を与えることはないという見方もある。
どうしてもSSOだけでは心配だという場合には、使い切りのパスワードである「ワンタイムパスワード」などとの併用による多要素認証、不正なトランザクションを検知して追加認証を課す「リスクベース認証」の導入を検討したい。
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