米Googleや米Amazon、米Facebookなどの先進的なIT企業は、さまざまな形でオブジェクトストレージを利用している。しかし、一般的な企業の多くは関心を持っていない。その理由とは?
先ごろ米カリフォルニア州サンタクララで開催された「Storage Networking World」のパネルディスカッションでは、ストレージ分野の第一線で活躍する専門家たちが登場し、オブジェクトストレージをめぐる最大の課題について議論を交わした。
「オブジェクトストレージがそれほど素晴らしい技術だとしたら、誰もがそれを利用するはずだが、そうでないのはなぜか」と司会者のロビン・ハリス氏(米StorageMojoのチーフアナリスト)は質問を投げ掛けた(関連記事:ストレージの理想的な管理要件を満たす「オブジェクトストレージ」)。
「Object Storage for Big Data」パネルには、オブジェクトストレージベンダーの米Amplidata、開発者ネットワークのAspera Developer Network、クラウド型NAS(Network Attached Storage)ベンダーの米Panzura、米Intel、バックアップ/アーカイブベンダーの米Quantumの代表者たちが参加した。
「オブジェクトストレージはファイルストレージにまつわる拡張性とデータ保護の問題を解決するが、企業での普及は進んでいない」というのがパネリストらの一致した見方だった。
パネリストらは「普及が進まないのは、技術的な欠点ではなく、主としてビジネス上の問題が原因だ」と指摘した。
「私の見るところでは、最大の問題の1つが、オブジェクトストレージを導入するケースの大半が個別のプロジェクトに結び付いたものだということだ」とハリス氏は述べた。
「オブジェクトストレージは非常にスケーラブルなシステムなので、数百Tバイトの規模で導入しなければ意味がない。だからオブジェクトストレージの導入が、メディア/エンターテインメント企業、地球物理アプリケーション、3次元の地震データ、医療画像といった分野に限られてしまうのだ。これらはいずれも基本的に単一のアプリケーションだ」(同氏)
オブジェクトストレージシステムは、ファイルやブロックを保存するのではなく、カスタムメタデータを備えたコンテナにデータを格納する。メタデータには、各オブジェクトについて記述した属性が含まれる。この技術自体は以前から存在していたが、近年、大規模アーカイブやクラウドストレージ用として再び注目されるようになったのだ。
ハリス氏によると、米EMCが業界の先陣を切って投入したオブジェクトストレージシステムのCenteraは「混乱を招く結果になった」という。動作が遅く、管理が難しかったからだ。
パネリストの1人で、Quantumの主席技術エバンジェリストを務めるデイブ・チャパ氏は「最近のオブジェクトストレージシステムはもっと進歩している」と語った。Quantumは、Amplidataのオブジェクトストレージ「AmpliStor」をQuantumのアーカイブ専用ファイルシステム「StorNext」と組み合わせて販売するOEM契約をAmplidataと結んでいる。
「オブジェクトストレージシステムの普及がなかなか進まない理由の1つとして、われわれが顧客にオブジェクトストレージの話題を持ち出しても、彼らが興味を示さないことにある」とチャパ氏は指摘した。
「『オブジェクトストレージなら知っている』というのが顧客の反応だ。だが最近のオブジェクトストレージがどのようなものであるのかについて、顧客を再教育する必要がある。『うちにはオブジェクトストレージは必要ない』とCIO(最高情報責任者)が言うのに対し、CFO(最高財務責任者)は『経費を削減したい』と言う。そこに対立がある」
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