高い拡張性と分散アクセスを実現するオブジェクトストレージ。企業のデータセンターでは、主にアーカイブ用として利用されている。主要ベンダーの製品動向を踏まえて、今後さらに広範囲で利用するために必要なポイントを探る。
これまで「拡張性に差がある、オブジェクトストレージとスケールアウト型NAS」「オブジェクトストレージを定義付ける8つの属性」の2回にわたり、オブジェクトストレージの定義やクラウドインフラの基盤技術になった背景について述べてきた。今回は、オブジェクトストレージ市場のベンダー動向や今後の課題を紹介する。
「今日、オブジェクトストレージはメディア、エンターテインメント、医療などの業界で多用される後処理型のデータや、アーカイブ用のストレージなどに向いている」と話すのは、米Hitachi Data Systems(HDS)のシニアプロダクトマーケティングマネジャー、ジェフ・ランドバーグ氏だ。「しかしパフォーマンスが向上し、機能が充実してくれば、クラウドストレージをサポートするだけでなく、分散型IT環境を実現できるようになるだろう」
オブジェクトベースのストレージは以下の3つのグループに分類できる。
CASは、オブジェクトをカスタムメタデータとともにファイルとして保存する。ファイルへのアクセスには、数値形式のオブジェクト識別子を使用する。厳格なコンプライアンス機能が要求されるディスクベースのアーカイブ分野向けにデザインされたCASシステムは通常、データセンターに配備されるため、インターネット上での分散アクセスやマルチテナンシーといったクラウド機能は必要とされない。
CAS分野をリードしているのは、「Centera」という製品を提供する米EMCだ。エンタープライズ市場では、米Caringoなどの企業も活躍している。CASベンダー各社は、自社製品をクラウドストレージに進化させるために、クラウド関連機能を追加するという形でプラットフォームを強化したり、オブジェクトストレージプラットフォームを新たに開発したりしている。EMCは、自社のクラウドストレージプラットフォーム「Atmos」で後者のアプローチを選択した。Caringoは、同社の既存のCASシステムを改良した「Caringo Object Storage Platform」という製品を提供している。このオブジェクトストレージプラットフォームはバージョン5以降、マルチテナンシーおよび最大1Tバイトのサイズのオブジェクトをサポートしている。
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