代表的ツールを紹介
組み込みOSをさまざまなハードで実行、エミュレーションツールとは?
デスクトップ仮想化の主な使い方の1つは、1台のマシンで複数のOSを実行することだ。だが、組み込みOSの場合、サポートされていないハードウェアで実行するにはハードウェアエミュレーションツールが必要になる。
デスクトップ仮想化を利用すれば、PCで実際に実行されているOS以外のOSも動かすことができ、そのおかげでデュアルブートの必要性が減る。デスクトップ仮想化では、2つ目のOSがサンドボックスの中で動作し、システム内の他の領域に影響しない仕組みが用意されているからだ。
デスクトップでめったに使われないOS、すなわち、デスクトップ用プロセッサとは全く異なるプロセッサタイプ用に作成されているOSを試すことがあるかもしれない。こうしたOSは“組み込みOS”と呼ばれる。扱う上では、デスクトップOSとは異なる注意が必要だ。
デスクトップ(クライアント)仮想化に関する記事
組み込みOSとは
組み込みOSは、専用のハードウェア環境あるいは対話的な利用が想定されていないシステムで動作するように開発されたOSを指す。
一部の組み込みOSは、デスクトップ用のプロセッサタイプ(おなじみのx86/x64 CPUファミリー)に対応している。この種の組み込みOSは、アプライアンスと呼ばれる機器に搭載されることが多い。大抵の場合、アプライアンスはヘッドレス(表示機能がない)ハードウェアで、これらに搭載される組み込みOSは、直接の操作をほとんど介さずに動作し、低レベルの機能を提供する。
これら以外の組み込みOSは、デスクトップ用プロセッサとは全く異なるタイプのプロセッサで動作する。このため、それらのOSを扱いたい場合、選択肢は2つある。1つは、目的の組み込みOSの対応ハードウェアを入手し、ネイティブ環境でそのOSを実行することだが、これは必ずしも手軽な方法でもない。
もう1つの選択肢は、所定のハードウェアのエミュレーション技術を利用することだ。そうすれば、通常はサポートしないデスクトップから、その組み込みOSを実行し、操作できる。
サーバやデスクトップの仮想化と同様に、ハードウェアエミュレーションにより、ユーザーはシミュレートされた各種ハードウェアやストレージ、ネットワークアクセスなどを利用できる。エミュレータでは、パッケージングとプレゼンテーションが仮想化と異なるが、概念と実現される機能は同じであるため、仮想化の経験があれば、ハードウェアエミュレーション技術を使う上で役立つ。
組み込みOSに関する記事
ハードウェアエミュレーションツールの選択肢
エミュレータは仮想化システムと似ているが、それ自体が動作するハードウェアプラットフォームとは全く異なるプラットフォームの動作をシミュレートするように設計されている。x86/x64チップセットで動作するシミュレータであれば、A RMやPowerPC、あるいはZ80のような古いプロセッサをシミュレーションするようになっている。
クロスプラットフォームのエミュレーションを行いたい場合、まずオープンソースパッケージの「QEMU」を使ってみるとよい。QEMUは無料なだけでなく、非常に幅広いタイプのプロセッサをサポートしている。PowerPC、SPARC、MIPS、ARMといった具合だ。例えば、QEMUでは、準備の整った環境でAndroidを実行できる。これは開発者にとって、アプリケーションをテスト実行する便利な方法になる。テストのために携帯電話を購入したり、自分の携帯電話をテスト機として使ったりしないで済む。
また、QEMUでは、プロセッサのタイプ別にさまざまな搭載端末用のオプションが用意されている。これらは、エミュレーションプロジェクトの種類によっては非常に重要かもしれない。例えば、ARMシステムについては、各種のタブレットや携帯電話に対応したさまざまなエミュレーションパッケージが提供されている。QEMUは、最も歴史が長く、最もサポートが充実しており、最も幅広いハードウェアに対応しているという点で際立っている。
また、ARM端末専用のエミュレータ「ARMware」や、リソースが極めて少ないARMベース組み込みシステム用のエミュレータ「Softgun」も利用できる。これらのハードウェアエミュレーションツールは、基本的な仕組みはQEMUと同じだが、手軽には使えないかもしれない(コマンドラインで長時間作業する覚悟が必要)。
米Intelや米AMDのCPUに代わる選択肢としてARMプロセッサファミリーへの関心が高まっているだけに、いずれは仮想化ツールでさまざまなプロセッサタイプのエミュレーションが可能になることも考えられなくはない。しかし、そのユースケースは非常に特殊であり、そうしたエミュレーションを実現するには、膨大な開発作業が必要になりそうだ。
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