近距離無線通信技術「NFC」は、モバイル医療機器や医療システムのアクセス認証での採用が期待されている。しかし、既に多くの現場で使われているiPhoneがその障壁になると指摘する専門家もいる。
近距離無線通信(NFC)技術は今後、医療ITの分野で大いに役立つ可能性がある。少なくとも、NFCを推進する業界団体「NFC Forum」はそう期待している。NFCはピアツーピア(P2P)方式でデータの交換を行える低消費電力のデータ転送技術だ。恐らく一番よく知られているのは、韓国Samsungの「GALAXY」スマートフォンのCMで、ユーザーが端末同士をかざし、音楽のプレイリストや動画を交換している様子だろう。今後、NFCの導入が進み、スマートフォンの画面をタップするだけで認証を行える機能がモバイル医療機器に組み込まれたり、ヘルスケアプロバイダーが医療ITシステムにアクセスする際の認証に使われたりする可能性が期待されている。
NFC Forumはメーカーやアプリ開発者、各種の業界団体など、170社以上の企業と団体で構成される。NFC Forumは先頃、NFCの導入を推進すべく、家電、医療、金融サービス/決済、小売流通、交通輸送の5つのビジネス分野に特化したSIG(Special Interest Group)を新設すると発表した。
医療ITの推進に取り組む非営利団体「Continua Health Alliance」(以下、Continua)のエグゼクティブディレクターで、このSIGの責任者も務めるチャック・パーカー氏は、「医療がターゲット市場だ」と語る。NFCはデータを端末から取り出し、医療ITシステムに送るための標準チャンネルとなり得るからだという。
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