電子カルテのクラーク運用はスタッフの人材育成につながる【連載コラム】医療ITの現場から

最近、医師のそばでクラークが電子カルテ入力を支援する「クラーク運用」が注目されている。その運用効果は医師の業務負荷の軽減だけでなく、診療所のコントロールタワーの役割を果たす人材の育成にもつながる。

2013年09月11日 08時00分 公開
[大西大輔,メディキャスト]

製品選定の相談から運用の相談へ

 電子カルテシステムは、近年の提供ベンダー各社の努力により、製品レベルの均一化が図られ、操作性や機能性の面ではメーカー間の差があまりなくなってきたといわれています(参考連載:診療所向け電子カルテ製品紹介)。そのため最近、医療機関から「製品選定よりも実際の診療現場に沿った運用」に関する相談が増えています。医療機関において、電子カルテが診療支援ツールとして認識され、診療の現場に溶け込んできている結果といえるでしょう。

 ここでいう「運用」とは、「電子カルテを利用してどのような診療を実現したいか」を意味しています。医師をはじめスタッフ全員が、電子カルテ導入前と導入後の変化を十分に理解していなければ、効率的な運用は難しいでしょう。

 診療所のIT化については、電子カルテは医師のためのものという誤解が長らくありました。一方、レセプトコンピュータ(レセコン)は医事会計スタッフのためのものと広く認識されていました。そのため、電子カルテの選定は医師が行い、レセコンの選定は医事担当者に委ねられていました。

 現在、診療所向け電子カルテは、電子カルテ機能とレセコン機能が一体となったものが主流です。そのため、診療所における電子カルテの導入に際しては、医師や看護師、事務員が一体となって、製品選定から実際の運用イメージの共有を図ることが重要です。医師のみで導入を検討すると、スタッフ側から反対の声が出ることもあります。既存の診療所で電子カルテ導入が進まない原因の1つには、診療所のスタッフ全員で導入を検討していないことが挙げられます。

クラーク運用は、医師とスタッフが一致団結できる仕組みづくり

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