首都圏で多く導入されているラボテックの電子カルテ「SuperClinic」。検査データのオンライン取り込みやセット登録などの豊富な入力支援機能を提供する。
1988年に診療支援システム「LABONET」の提供を開始したラボテック。同社は1997年、診療所と検査センター間をオンライン接続し、検査データの通信機能をLABONETに搭載。その機能を法改正などのアップデートやリモートメンテナンスに応用し、さらにLABONET機能を搭載にした電子カルテシステム「SuperClinic」を2001年に販売開始した。SuperClinicは首都圏を中心に導入実績を伸ばしており、首都圏では導入台数と市場占有率で1位になっているという(『月刊新医療』調べ)。
ラボテック 営業部 リーダー、土屋哲史氏は「SuperClinicは“多機能をシンプルに使いこなせる”を開発コンセプトに掲げ、そのために必要な入力支援の機能を提供している」と説明する。SuperClinicは、内科や小児科などを中心に導入されている。また、患者数や処置が多い整形外科や皮膚科、耳鼻咽喉科でも採用されている。
SuperClinicは、無床診療所向け電子カルテ。最新バージョンは、Windows 7対応の「Super Clinic III version2.0」だ。レセプトコンピュータ「NEXT21レセプトシステム」を搭載しており、受付業務から診療、医事会計などのデータを一元化することで診療所の業務全般の効率化を支援する。
電子カルテ作成画面は「過去(前回)カルテ」「新規カルテ」「カルテセット」「テンプレート」などで構成する。紙カルテ2号用紙を基本レイアウトとし、ツールの配置変更や表示・非表示、文字のサイズや色の変更などのカスタマイズが可能だ。
SuperClinicでは、処方や検査オーダーといった過去カルテの内容をドラッグ&ドロップ操作などで新規カルテに反映できる。また、「カルテセット」「処方テンプレート」「患者サマリー」「カルテナビ」などの入力支援機能を搭載している。
カルテセットは主訴や所見、病名、オーダーなどの内容をまとめて登録し、カルテに一括入力する機能。風邪やインフルエンザ、花粉症といったよくある診療内容ごとに最大144種類のセットを登録できる。土屋氏は「他の電子カルテでは登録専用画面に遷移するが、SuperClinicではカルテ作成画面の入力内容をその場で登録できる」と説明する。
処方テンプレートは、よく使うコメントや投薬、検査などを診療科や医師、症状、部位ごとに細かく設定できる。
患者サマリーは、過去の診療経過の要約を表示する機能。診察日ごとの処方や検査の有無を一覧表示したり、主訴や処置などの内容を詳細に確認したりできる。
カルテナビ機能では、処置や投薬、注射、リハビリなどの診療行為ごとに患者の履歴情報を検索できる。土屋氏によると「例えば、『1年前に処方してもらった花粉症の薬が欲しい』という場合でも、すぐに検索して処方できる」という。
SuperClinicでは、その医院に家族で通う患者を検索したり、一覧表示したりする「家族一覧」機能を提供する。また、画面の切り替えによって3患者まで同時にカルテを入力できる。親と複数の子どもが来院した際でも素早く対応でき、“かかりつけ医”としての役割を支援する。その他、項目への入力や行の削除など、直前3回の操作を取り消せる「編集バー」機能を提供する。
SuperClinicでは、岐阜大学医学部が監修した「人体イラスト集」を搭載。マウスやタッチペンで描画したり、コメント文字を書き込んだりできる。さらに印刷して患者に渡すことで、「患者とのコミュニケーションの促進やインフォームドコンセントの理解などに役立てられる」(土屋氏)。
SuperClinicは、全国100施設以上の臨床検査センターとのオンライン接続の実績がある。土屋氏は、3社のデータを同時に取り込めるなど、「開業医の経営判断に基づいた検査センター選択が可能である点」を差別化ポイントに挙げている。SuperClinicでは、そうした各種検査情報を検索したり、用途に応じた形式で表示する機能を搭載している。
「投薬グラフ」画面では、検査結果と服薬歴を合わせて表示。相関関係を分析して医師の診療行為の効果を確認したり、患者への服薬指導などに用いることができる。
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