高知大学医学部附属病院は2013年2月、看護業務支援システムで利用するモバイル端末を専用PDA端末からiPod touchに変更。600台を全看護師に配布して、看護業務の効率化と保守運用コストの削減に成功した。
高知県南国市にある高知大学医学部附属病院は、「患者の尊厳と地域特性を重視した医療環境の実現」などを基本理念として1981年に開院した(現在の病床数は605床)。同県にある唯一の大学病院(特定機能病院)として、地域住民に全人的な医療サービスを提供し続けている。2012年度から実施している再開発計画では「『日本一の健康長寿県』を目指して『地域に密着した先端医療の推進と優れた医療人の育成』」に取り組むなど、高知県における地域医療ネットワークの充実、県民のニーズに沿った予防医学や最先端医療の開発を推進している。
高知大学医学部附属病院は2011年、統合医療情報システムの全面刷新(2013年1月実施)を見据えて、看護業務支援システムの見直しを検討。看護師へのヒアリングを通じて、指示書の管理や指示変更時の連絡確認など情報伝達に関する業務負担が多いことが明らかになった。
従来の看護業務支援システムにおける情報伝達の手段として、同病院は2007年からバーコードリーダー機能とPHS機能を持つ専用PDA端末185台を複数の看護師で共同利用してきた。入院患者のベッドサイドにおける患者認証やバイタルサイン登録などを実施していたが、幾つかの問題点があったという。その問題解決に向けて同病院では、看護師が所持するモバイル端末の変更を決定。iPhoneやAndroid端末など複数の機器を検討した結果、Appleの汎用携帯端末「iPod touch」を看護師全員に1台ずつ配布することを決めた。
iPod touchが採用された理由とは? 本稿では、2013年11月に開催された「第33回医療情報学連合大会」における、高知大学医学部附属 医学情報センター 中島典昭氏の講演内容を基に、iPod touchの導入経緯や具体的な導入効果などを紹介する。
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