英Barclays銀行は音声による生体認証の適用を拡大して、顧客の認証を合理化できないかどうかを検討している。しかしこのテクノロジーはまだ、多くの人々から信頼や理解を得る段階には至っていない。
英Barclays銀行は、ハイエンドの顧客を対象に音声認証テクノロジーを2012年後半から導入していた。そして同行は、2014年からこのテクノロジーを1200万人の個人顧客に対しても適用する計画を立てている。
この銀行に限らず、パスワード認証方式の問題点を解決する方策として音声認証を採用する企業が登場している。しかしそのような企業や組織は、なぜ音声認証を採用するという結論に至ったのだろうか。
それに「そもそも顧客の認証に生体認証を使うとすると、一体どんな方法で実現するのか?」とまず疑問に思った人もいるだろう。
音声認証では、顧客が電話で担当者に連絡してきたときに顧客の声紋を採取して、これを使用する。同じ顧客が再び電話をかけてくると、認証システムは電話の音声を録音済みの声紋と突き合わせて、約10秒でこの顧客を特定する。声紋と音声の一致が確認されると、この顧客に対する認証は完了する。
この認証方式の業務上のメリットは、顧客の認証が速く完了することだ。企業にとっては、顧客からの問い合わせの処理速度が上がる。また、詐欺に遭ったり顧客のIDが盗まれたりするリスクも減る。
一方顧客にとってのメリットは、(パスワードを入力する手順が不要になるので)通話時間が短くて済むし、IDの盗難に対する保護は強化される。何よりパスワードを覚える必要がなくなる。
これだけのメリットがあっても、音声生体認証の導入に対して、プライバシーに関する懸念を示す人々が一部に存在する。また、企業が(顧客の)生体認証情報を収集することを不快に感じる人々もいる。
しかしそんな心配は杞憂だと、音声データに特化したデータ分析システムを開発したイスラエルの企業、Nice Systemsは説明する。音声生体認証は単純に人間の声を録音するだけで、それ以上でもそれ以下でもないと話すのは、Nice Systemsでヨーロッパ地域のマーケティング担当副社長を務めるクレイグ・パンフリー氏だ。
「企業や組織が実行したいのは、ある人物の声を録音して、単純にその声の持ち主の人物特定をすることだけだ」と同氏は語る。
音声生体認証システムはどこか心もとないという懸念を示す企業や組織もある。周りが騒がしい場所では使えないのではないか。顧客の体調によって声の調子が変わることもあるが、それでも認証できるのか。例えばノドが痛いときはどうなるのかという疑問を抱いているのだ。
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