コカ・コーラがミッションクリティカルシステムをクラウドに移行する理由実務部門対策

米国最大のコカ・コーラボトラーが、ERPも含めたシステムの大半をクラウドに移行しようとしている。同社がクラウド移行を決断した理由とは?

2014年11月21日 08時00分 公開
[Archana Venkatraman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 飲料会社である米Coca-Cola Bottling Company Consolidated(CCBCC)のCIO、 オニエカ・ンチェゲ氏は現在、自社の基幹業務のワークロードをクラウドに移行させるタスクに取り組んでいる。

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 2014年に英ロンドンで開催されたカンファレンス「Cloud World Forum 2014」の基調講演でンチェゲ氏は、「われわれは既に移行プロセスに着手している。一部の拠点で基幹業務をクラウドに移行して、運用も始めている」と参加者に対して報告した。「今後2〜5年で、基幹業務のアプリケーションはERPシステムを含めてその大半をクラウドに移す予定だ」(ンチェゲ氏)

 ただしンチェゲ氏の戦略で、基幹業務のワークロードを稼働させるプラットフォームとして採用しているのはプライベートクラウドだ。

 「当面はプライベートクラウド戦略を進めるが、3〜5年後にはパブリッククラウドサービスを大いに利用しようと考えている」。例えばンチェゲ氏は、メールサービスとして米MicrosoftのOffice 365の利用を検討中だ。「われわれの関連企業数社が既にOffice 365を利用しているので、当社でも採用することにした」とンチェゲ氏は話す。

 そこでCCBCCは、Google、AWS、Microsoftなどパブリッククラウドのプロバイダーも同社案件の入札に招いたと、同氏は本誌Computer Weeklyに語る。

 CCBCCは米国内で最大の独立系コカ・コーラボトラーで、清涼飲料水の製造、マーケティング、販売を展開している。売上高は約15億ドルだ。

 現在同社はプライベートクラウド上で人事(HR)、勤怠管理、人材採用、調達などのシステムを運用している。

 ンチェゲ氏の計画では、社内ITシステムの80%をクラウドに移行させる予定だ。クラウドコンピューティングの最大の利点は、ITシステムが簡略化できて管理も容易になることだと同氏は語る。

 「実務部門のマネジャーたちはわれわれITチームに、(自部門用)ITサービスのカスタマイズを依頼してくる」とンチェゲ氏は明かす。「カスタマイズは複雑さを増すことにつながり、IT資産の堅牢性も損ねる。それにITチームが開発作業に時間を割くと、社内システムの停止時間も増えてしまう。そこで、標準化されたクラウドサービスを導入した。今後実務部門は、従来のように既存製品から(使いたいものを)選ぶのではなく、もともとの設計通りにオンデマンドでITサービスを利用して、アジャイル開発を自力で進めてもらう」

 しかしそんなに大きくプロセスを変更して、実務部門から不満の声は上がらなかったのだろうか。

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