Eコマースの売り上げを65%伸ばしたシンプルな戦略だが実作業はかなり複雑

スポーツブランドのQuiksilverは、Eコマースの売り上げを65%も向上させた。同社の成功の秘密とは?

2015年02月24日 08時00分 公開
[Caroline Baldwin,Computer Weekly]
Computer Weekly

 現在米国に本社を置くスポーツブランドの豪Quiksilverは、クラウドベースのEコマースプラットフォームを拡大して65%の売上増を達成した。

 主にアウトドア関連のスポーツウェアを扱っている同社は、ヨーロッパではオンプレミスのシステムから米Demandwareのクラウドプラットフォームへ移行した。現在は少しずつこのプラットフォームをグローバルに拡大し、全システムの統合を目指している。

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 Quiksilverのグローバルデジタル部門担当副社長、ニコラス・フーレ氏が本誌Computer Weeklyのインタビューに応じて語ったところによると、同氏が2011年にコンシューマー向けEコマース部門を担当した当時、同社のオンライン販売事業は伸びてはいたものの、競合他社のEコマース販売の成長に比べるとやや後れを取っていた。そのころ同社は、既にマーケティングのプラットフォームもオンラインショップも一通りそろえていた。そこでフーレ氏は、この両者を統合することを提案した。Quiksilverがそれぞれの商品を世に送り出すまでのストーリーを、顧客により身近に感じてもらうことを狙ったのだ。

 同氏はこの施策について次のように語る。「われわれは(Quiksilverが所有する)ブランドを育てることに携わっている。そこで成功を収めるには、商品に込めたわれわれのストーリーをWebサイトで伝えていかなければならない。それが最終的に、たくさんのお客さまの注目を当社の商品に集めることにつながるからだ」

Demandwareの採用

 商品のストーリーを伝えることと購買体験の統合を実現する取り組みに着手して間もなく、同社は当時使用していたオンラインショップのプラットフォーム、Microsoft Commerce Serverが古臭くて時流に合わなくなっていることに気づいた。そこで米Demandwareを採用して環境を一新した。

 新しい環境でマーケティングプラットフォーム、コンテンツ管理システム、Eコマースアプリケーションを統合して実装するのに4カ月半かかったが、その時間のほとんどは商品番号の管理に費やした。

 今では商品の詳細情報、レビュー、表現豊かな画像や映像が新しいプラットフォームに搭載されて、これらがブランド体験の統一感を実現することに一役買っている。さらにQuiksilverの公式ブログと同社ブランドのRoxyのブログでは、サーフィンとスキー関連の話題を継続して提供している。ブログではさまざまな技のコツやアドバイスを画像と映像で説明したり、画像や映像で使用している商品の購入ページへのリンクを同じページに掲載したりしている。

 ただしグローバル化の観点では不完全で、同社のEコマースプラットフォームは地域によって異なるサプライヤーを利用している。例えばアジア太平洋地域では米eBayの子会社である米Magento、米国内では米Oracleが買収した米ATGの製品をそれぞれ採用している。

 「地域間で、Webサイトの統一はほとんど行っていない」とフーレ氏は説明する。「基本的にグローバルで統一しているのはロゴ、ブランド、主要なキットの一部だけだ。それ以外は各地域の独自性に任せている」

テクノロジーの統合による事業のグローバル化

 しかし数年前にテクノロジーの統一に着手して以来、Quiksilverも自社のグローバル化に力を入れている。

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