「New Education Expo 2015」リポート
「タブレット40台を全校共有」は現実的? つくば市・柏市が教育IT化で議論(1/2 ページ)
教育機関のIT活用に先駆的に取り組んできた茨城県つくば市と千葉県柏市。両市でIT活用を推進する担当者が、教育ITの課題について議論した。その内容を紹介する。
茨城県つくば市と千葉県柏市は、それぞれ1977年、1986年から教育機関でのIT活用に取り組んできた先駆的な自治体だ。タブレットをはじめとする新たなIT製品・技術の活用にも積極的に挑んでおり、両市の取り組みに注目する教育関係者は少なくない。
内田洋行が主催する教育関係者向け年次イベント「New Education Expo 2015」では、つくば市教育局総合教育研究所 副所長の毛利 靖氏と柏市教育の情報化推進委員会 委員長の西田光昭氏が、IT活用の課題について議論した(写真)。本稿では、その中から興味深い話題をピックアップして紹介する。
「タブレット40台を全校で共有」は成り立つのか
佐賀県や東京都荒川区など、自治体の間では学習者1人1台のタブレットを整備する動きがある。一方で、東京都港区や茨城県古河市など、学校1校につき40台程度のタブレットを配備し、共有してもらう自治体も多い。標準的な学校では、40台あれば1クラス分の学習者に1人1台ずつ配布できる計算だ。
実際、タブレットの共有を選択する自治体や教育機関は少なくない。ただし、利用のたびに保管場所から教室への端末を運ぶのは骨が折れるし、あるクラスに端末を貸し出している最中には他のクラスが利用できなくなるなどの問題がある。柏市の西田氏は、「5、6年生だけなど限定したクラス数での活用であれば、40台だけでもなんとか使える可能性はある」と前置きしつつ、20~30学級で大規模に活用する場合は「40台だけでは無理で、40台を1セットとして2、3セットは必要になる」と語る。
一方、1人1台の使い方にこだわらなければ、必ずしもクラス全員分のタブレットを一気に貸し出す必要はない。児童数・生徒数が計1000人を超える春日学園では、春日小学校、春日中学校にそれぞれ40台ずつのタブレットを導入し、クラス間で共有している。春日学園では用途に応じて2、3人で1台、あるいは6人で1台を共有してもらったりするなどの工夫で、複数のクラスで同時に使える分のタブレットを確保できるようにしているという。「端末の数が少ないながらも、うまく活用できるよう工夫している」(毛利氏)
「コンピュータ室からのタブレット持ち出し」は是か非か
コンピュータ室のクライアントPCをタブレットに置き換える動きがある中、タブレットをコンピュータ室から持ち出して教室で利用可能にする教育機関も少なくない。コンピュータ室にあるタブレットを利用すれば、専用の保管庫を別途用意する必要がなかったり、電源を確保しやすいといったメリットがある。実際、春日学園ではタブレットをコンピュータ室に配備しており、コンピュータ室の外に持ち出して活用できるようにしている。
柏市でもコンピュータ室からのタブレット持ち出しを許可している学校はある。ただし、実際には「コンピュータ室からタブレットを持ち出すことはあまりなく、どちらかというとコンピュータ室でタブレットを使うことが多い」と西田氏は明かす。活用のたびにタブレットを教室へ持っていくのは、時間も手間もかかるからだ。春日学園でも、常に教室などコンピュータ室から離れた場所でタブレットを活用しているわけではなく、コンピュータ室でそのまま活用することもあれば、コンピュータ室の隣にある図書室で活用することもあるという。
端末の用途にもよるが、端末や無線LANなどのネットワークインフラが限られている教育機関にとっては、教室よりも環境が整ったコンピュータ室で端末を利用した方が、持ち運びや設定の手間もなく効率的ともいえる。西田氏は、コンピュータ室から端末を持ち出して使うのであれば、「無線LANを全教室に配備するのが先だ」と指摘する。
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