組織は単純なWebサイトを超越したオンラインエクスペリエンスを顧客に提供するという課題に直面している。
電子メールの世界的な普及に加えて、複数のメッセージングツールが台頭してきた。それと並行してWebプレゼンスが急速に進化して、双方向コンテンツや取引体験、つまり電子商取引を提供できるようになった。
Webエクスペリエンスの成長に伴う最大級の不安はコンテンツだ。誰がコンテンツの保有、作成、編集を行い、音声や動画などさまざまなメディアをいかに管理し、顧客が持つ多様なプラットフォームでそのメディアをどう再生するのか。Webの20年の歴史の間に、開発ツールはHTMLエディタと視覚化ツールで十分だった時代から、あらゆる機能と管理プラットフォームに対応したスイートが必要な時代になった。
対応するためには、まだ組織的な課題が残る。影響力やコントロールは技術とスキルを持ったIT部門から、Webプレゼンスを活用してきた事業部門を経て、ユーザーや顧客へと移った。顧客が統一されたカスタマーエクスペリエンスを使いたいと望む一方で、その背後には別々のコンポーネントが混在していて、それぞれが特定のアプリケーションに重点を置いている。
だがこの状況は変わり始めた。完成されたカスタマーエクスペリエンスを提供するためのクラウドベースの統合プラットフォームが台頭しつつある。米Oracle、米IBM、米Salesforce.com、英SDLなどの各社はこの分野での買収や合併に力を入れている。それでもこうした統合型製品の中には、特定の分野に重点を置くことによって、あるいは内部の矛盾を露呈することによって、個々の遺産を受け継いでいるものもある。組織はどうすれば、何が必要なのかを判断できるのか。
第一に、デジタルカスタマーエクスペリエンスを構成する主な側面を見極め、それが根底にある組織的戦略と最も緊密にかかわる部分に目を向け、そうしたニーズにはどのような種類のツールが対応できるのかを調べることだ。
コンテンツは第一の原動力だ。最も単純なWebサイトでさえ、これで苦労しかねない。従って、コンテンツは手堅いWebコンテンツ管理基盤の上に構築する必要がある。質が高く的を射たコンテンツは、カスタマーエクスペリエンスを興味深く、効率的かつ究極的には生産性の高いものにするための基本といえる。
コンテンツの効率的な管理は、カスタマーエクスペリエンスのためだけでなく、コンテンツが適切に保護されていて正確で、コンプライアンスに沿ったものであることを保証するためにも欠かせない。Webコンテンツ管理は、Webの構造やモデル、アプリケーションの特定のニーズに対応したデータ機能およびワークフロー管理の両方と組み合わせる必要があり、閲覧に使われる幅広いプラットフォームにコンテンツを対応させる必要もある。
多くのサプライヤーは、コンテンツ管理の伝統を豊富に持っている。カナダOpen Textの歴史はインターネットが大衆化する前の時代にさかのぼり、米HPの「Autonomy」はマルチソースや大量のコンテンツに加えてガバナンス問題に対応するための手堅いアプローチを提供する。他にもIBMなどは、非技術系のコンテンツ開発者によるコンテンツ作成の容易さと、IT部門が管理を保つ必要性との間のバランスに重点を置く。
直接的なWebコンテンツの先には、画像、音声、動画といったデジタル資産があり、そのためにはさらに高度な管理が必要だ。これは単なるデータの量の問題ではなく、フォーマットについての知識やその違い、コード変換や適応の必要性についても知っておく必要がある。この分野では、リッチメディアの伝統を受け継ぐ米Adobe Systemsのような企業や、プラットフォームを問わず出力メディアを最大限に活用することに強みを持つデンマークSitecoreのような企業が実力を発揮するかもしれない。
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コンテンツは単なる情報以上の内容を伝えなければならない。行動を促し、さらには金銭取引を促す必要がある。
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