数PBの容量を持ち、シリコンメモリの100万分の1以下のエネルギーで動作する人間の脳。人間の脳を模倣できれば、効率的なストレージが実現するだろう。だが、そこに至る道のりは平たんとはいえないようだ。
将来のデータストレージは、現在のフラッシュストレージのようにセルの電子のオン/オフを切り替えるものではなくなるだろう。
フラッシュの後継と一部で期待されている「Racetrack」メモリのような、磁気ベースの仕組みでもなさそうだ。Racetrackはセル1個当たり1bitまたは数bitをメモリの物理単位当たり100bitで置き換える。
これらに代わるものとして科学者が研究を進めているのは、人間の脳が記憶を保持する仕組みを模倣する方法だ。
これまでのところ、その研究は脳が情報を記憶する際の正確な仕組みの解明に挑んでいる段階だが、脳を模倣できれば、それによって得られる潜在的な利益はとてつもなく大きい。
現時点の見積もりによると、人間の脳の記憶容量は恐らく数PBにも及ぶ。また、実験物理学者スチュアート・パーキン教授は、脳が消費するエネルギーはシリコンベースのメモリの100万分の1以下と推定している。
脳が情報を記憶する仕組みについて、学術界では今も完全にコンセンサスが得られているわけではない。かなり大ざっぱにまとめると、記憶の格納場所である脳細胞(ニューロンなどさまざまな種類がある)と別の脳細胞との間で神経伝達物質(これもさまざまな種類がある)を放出したり摂取したりすることで記憶すると考えられている。
そして、ストレージを共有するための接続によるネットワークと、ネットワークを構成している接続が、格納する記憶自体を定義しているというのがパーキン教授の研究テーマだ。なお同教授は、米スタンフォード大学のナノテクノロジー技術研究施設「IBM-Stanford Spintronic Science and Applications Center」(SpinAps)と、ドイツのハレにあるマックス・プランク研究所の所長も務めている。
同教授は次のように話す。
続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。
ウェアラブルとビッグデータで医療を変えるマイケル・J・フォックス財団とIntel
効果が認められた仮想現実(VR)治療、なぜ導入が進まないのか?
Google、Microsoft、Facebookのディープラーニングフレームワーク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。