2019年11月15日 08時00分 公開
特集/連載

今できること、すべきこと脳とコンピュータのインタフェースがもたらす可能性

脳とコンピュータをつなぐブレインマシンインタフェースが成果を上げ始め、夢の技術ではなくなりつつある。今何ができるようになったのか。そして今、何をなさねばならないのか。

[Cliff Saran,Computer Weekly]

 2019年9月上旬に発表されたレポート「iHuman:Blurring lines between mind and machine」(iHuman:曖昧になる心と機械の境界)は、人間の脳とコンピュータをつなぐ神経インタフェースが医療と人間の関係をどのように変える可能性があるかを考察している。

 英インペリアルカレッジロンドン(Imperial College London)で生体医学回路設計の講座を受け持つクリストファー・トーマゾウ教授は次のように語る。「現時点で神経インタフェースの応用を想像するのは難しい。それは、数十年前にスマートフォンを想像できなかったのと同じだ。神経インタフェースには、英国経済に大きな利益をもたらし、公衆衛生とソーシャルケアを担うNHSなどのセクターを変える可能性がある」

 だが、開発が少数の企業に握られたら、この技術の商業利用が妨げられる恐れがあるとトーマゾウ教授は警告する。同レポートは、神経インタフェース技術の国家的研究を立ち上げてイノベーションを促し、公的にこの分野を形成できるようにするよう英国政府に要請している。

 インペリアルカレッジロンドンのNext Generation Neural Interfaces(NGNI:次世代神経インタフェース)ラボの所長で同レポートの共同責任者を務めるティム・コンスタンディノウ教授は次のように話す。「神経インタフェースは2024年までに選択肢の一つとして確立され、まひから回復して歩けるようになり、うつ病に対処できるようになる可能性は高い。アルツハイマー病の治療が現実になる可能性もある」

 「脳とコンピュータのシームレスなコミュニケーションといった進化の実現はずっと先の可能性のように思える。だが、将来のあらゆる進化に十分柔軟に対応できるよう、今から倫理や規制の対策を確立すべく行動を起こす必要がある。そうすれば、新たに出現する技術が安全かつ人類にとって有益な形で実装されるようになる」

 王立協会(Royal Society)によると、思考を送信する最先端の試みは、事前にトレーニングされた単語や答えに対応する単純な脳パターンを認識する人工知能(AI)のレベルだという。

 2018年、IBMは自然環境の中でOpenBCIのヘッドセットを使って被験者の思考パターンを分析することで、その意図を解読する方法を発表した。

 IBMのリサーチサイエンティストであるステファン・ハラー氏は次のように記している。




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