Gartnerのバーン・エリオット氏がAIへのアプローチとしてCIOに推奨するやり方は、AIプロジェクトを投資ポートフォリオのように扱い、ハイリスクとローリスクの複数のプロジェクトを同時に進めるというものだ。
エンタープライズAI(人工知能)プロジェクトを立ち上げるには目的とユースケースが不可欠だが、これに加え現実を十分に認識することも重要になる。こう語るのは、Gartnerのアナリスト、バーン・エリオット氏だ。
どのようなAIプロジェクトでも、CIOは以下のことを行う必要がある。
これが全てではない。AIプロジェクトを早急に進める準備が整っていないのであれば、CIOは金融アドバイザーのように思考する必要があるとエリオット氏は提案する。AIからメリットを得るには、CIOは1つのAIプロジェクトに全てを懸けてはいけない。複数のプロジェクトに投資するのが望ましい。ローリスクローリターンのプロジェクトとハイリスクハイリターンのプロジェクトを同時進行する必要がある。
全てのAIプロジェクトが同じ価値で作成されるわけではない。仮想アシスタントを使ってカスタマーサービスをサポートするなど、段階的に品質を向上させるプロジェクトもある。こうしたAIアプリケーションは競合他社との差別化をもたらすわけではないが、AIプロジェクトの着手には適している。エリオット氏は2017年5月にGartnerが公開した、企業にAIを導入するためのオンラインセミナーでそう語っている。
一方、より戦略的な性質を持ち、企業が競争上の優位性を求めるAIプロジェクトもある。エリオット氏によると、こうしたプロジェクトには「企業がアクセスできるデータ」や「運営特有のデータ」がかかわることが多いという。こうした戦略的AIプロジェクトの例には、治療を強化するために医療機関が導入する対話型患者アシスタントなどがある。こうしたプロジェクトは段階的に品質を上げていくAIプロジェクトに比べて多くの時間、スキル、実験を必要とする。
エリオット氏は、AIプロジェクトの難易度を目に見える形にする方法の1つとしてGartnerの「AIバリューチェーン」を紹介する。これは、AIプロジェクトの目的を「複雑性」「必要な専門知識」「プロジェクト例」「テクノロジー」別に分類した図表になっている。
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