AIプロジェクトの難易度を図表で理解、企業が考えるべきその優先度とはGartnerのアナリストが提言(1/2 ページ)

Gartnerのバーン・エリオット氏がAIへのアプローチとしてCIOに推奨するやり方は、AIプロジェクトを投資ポートフォリオのように扱い、ハイリスクとローリスクの複数のプロジェクトを同時に進めるというものだ。

2018年05月02日 05時00分 公開
[Nicole LaskowskiTechTarget]

関連キーワード

CIO | Gartner | 機械学習


 エンタープライズAI(人工知能)プロジェクトを立ち上げるには目的とユースケースが不可欠だが、これに加え現実を十分に認識することも重要になる。こう語るのは、Gartnerのアナリスト、バーン・エリオット氏だ。

 どのようなAIプロジェクトでも、CIOは以下のことを行う必要がある。

  • 投資に見合う利益を得るのに必要な基盤テクノロジーを緻密に計画する
  • データの品質を評価し、機能モデルを生成できるほどクリーンかどうかを判断する
  • AIプロジェクトを立ち上げるのに必要な技術スキルが組織に備わっているかどうか判断する

 これが全てではない。AIプロジェクトを早急に進める準備が整っていないのであれば、CIOは金融アドバイザーのように思考する必要があるとエリオット氏は提案する。AIからメリットを得るには、CIOは1つのAIプロジェクトに全てを懸けてはいけない。複数のプロジェクトに投資するのが望ましい。ローリスクローリターンのプロジェクトとハイリスクハイリターンのプロジェクトを同時進行する必要がある。

 全てのAIプロジェクトが同じ価値で作成されるわけではない。仮想アシスタントを使ってカスタマーサービスをサポートするなど、段階的に品質を向上させるプロジェクトもある。こうしたAIアプリケーションは競合他社との差別化をもたらすわけではないが、AIプロジェクトの着手には適している。エリオット氏は2017年5月にGartnerが公開した、企業にAIを導入するためのオンラインセミナーでそう語っている。

 一方、より戦略的な性質を持ち、企業が競争上の優位性を求めるAIプロジェクトもある。エリオット氏によると、こうしたプロジェクトには「企業がアクセスできるデータ」や「運営特有のデータ」がかかわることが多いという。こうした戦略的AIプロジェクトの例には、治療を強化するために医療機関が導入する対話型患者アシスタントなどがある。こうしたプロジェクトは段階的に品質を上げていくAIプロジェクトに比べて多くの時間、スキル、実験を必要とする。

AIの難易度を示すバリューチェーンとは

 エリオット氏は、AIプロジェクトの難易度を目に見える形にする方法の1つとしてGartnerの「AIバリューチェーン」を紹介する。これは、AIプロジェクトの目的を「複雑性」「必要な専門知識」「プロジェクト例」「テクノロジー」別に分類した図表になっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news064.jpg

2025年のマーケターが「生成AIでテレビCMを作る」よりも優先すべきことは?
AIが生成した広告に対する反発が続いた1年を経て、マーケターはパフォーマンス重視で非難...

news070.jpg

CMOはなぜ短命? なぜ軽視される? いま向き合うべき3つの厳しい現実
プロダクト分析ツールを提供するAmplitudeのCMOが、2025年のマーケティングリーダーに課...

news214.jpg

トラフィック1300%増、生成AIがEコマースを変える
アドビは、2024年のホリデーシーズンのオンラインショッピングデータを公開した。