2大認証方式を比較
いまさら聞けない「生体認証」と「多要素認証」の違い
生体認証と多要素認証は、いずれも高い水準のセキュリティを実現できる。いずれかを選定、または両方を組み合わせる前に、それぞれの技術のメリットとデメリットを認識する必要がある。
認証に関して、1つはっきりしていることがある。従来のユーザー名とパスワードを使う技術は、もはや時代遅れということだ。幸いなことに、代替となるユーザー認証の方法は幾つかある。だが、どのオプションが最善かを判断するのは難しい。
生体認証と多要素認証(MFA)は、2つともユーザー認証の方法だ。MFAは、2つ以上の認証情報、すなわち、ユーザーが知っていること、ユーザーが持っているもの、そしてユーザーは誰か、という情報を組み合わせてシステムへのアクセスを許可する。そうした認証情報にはそれぞれ、パスワード、セキュリティトークン、生体認証が当てはまる。
例えば、ユーザーがセキュリティ質問に答え、スマートフォンにテキストメッセージ経由で送信されるコードを入力する方法がある。これに対して生体認証は、指紋や虹彩スキャンといった個人で異なる生体情報のみを使ってユーザーのアクセスを許可する。
両方のユーザー認証方式とも効果があり、合理的な水準のセキュリティを実現できる。いずれか一方を選んでもいいし、両方の方式を組み合わせて、生体認証を含むMFAのアプローチを採用してもいい。だがまずは、それぞれのメリットとデメリットを認識することが重要だ。
生体認証
生体認証の最も重要なメリットは恐らく、使い勝手の良さだ。ユーザーが時間をかけて長いパスワードや暗証番号を入力する必要はない。指をかざしたり、短いフレーズを口にしたりするだけで、ユーザーのアクセスが許可される。
生体認証は、本質的に本人にしかない特徴を利用することから、最善のユーザー認証方式に思えるかもしれない。だが完璧ではない。指紋はどこにでも残るものであり、困難ではあるが、捏造(ねつぞう)は可能だ。
同様に、顔認証も、例えばひげをそるなどして、ユーザーの風貌が変われば通用しなくなる。生体認証は、本人にしかない特徴を利用していることから、変更や編集が難しい。ユーザーが単純にパスワードをリセットすることはできない。
多くの企業では、生体認証はコストが高くなり、利用が難しい。スマートフォンベンダーや金融機関は顧客の需要を受けて、いち早く生体認証(指紋認証、顔認証)を採用したが、小規模組織ではそのためのリソースがないこともある。コストやリソースで考えると、音声認証はIT部門がハードウェアを追加する必要がないことから、生体認証の中では最も利用しやすい形態かもしれない。
多要素認証
専門家の中には、多要素認証の方が、生体認証よりもセキュリティの向上に役立つという意見もある。これは、多要素認証がアクセスを許可するために、複数の情報を必要とするためだ。
だがMFAにも課題はある。こうした方式のユーザー認証では、ユーザー側に要求される作業が増え、要素が加わるたびにリスクが増える。ユーザーはパスワードを覚えていないかもしれないし、セキュリティトークンが手元にないかもしれない。そうした問題は不満につながり、生産性の低下を招く。
IT部門は、MFAに対応したIDアクセス管理ツールについて研究し、サービスベンダーへの提案依頼書の中に、必須の機能として含める必要がある。その後、社内実験を通じて導入前にその機能のテストを行い、社内ITインフラの他の技術とうまく連携できることを確認しなければならない。従業員のためのカスタムアプリを開発している組織であれば、IT部門と開発チームのコミュニケーションを図り、それぞれのモバイルアプリにMFAを確実に組み込む必要がある。
IT部門が多要素認証のために生体認証を義務付け、両方の最大の利点を組み合わせることもできる。そうした形のユーザー認証であれば、複数要素の認証に依存しながら、ユーザーに負担を掛けずに済むだろう。
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