農業機器大手のAGCOは「Amazon Redshift」「Amazon SageMaker」などのAWSサービスを利用して、AIベースの新しいマーケティングツールと顧客向けポータルの開発を進めている。競合がひしめく市場で勝ち残るためだ。
AGCOは1990年の創業から30年近くにわたって農業機器を製造し、世界中の流通業者と農家に販売してきた。
年商95億ドルのAGCOは成功を収めてきた。そして今、激しい市場競争を勝ち抜くために人工知能(AI)やビッグデータの波に乗ろうとしている。IoT(モノのインターネット)技術に加え、分析のバックエンド刷新に大規模な投資をしている。
AGCOが取り組んでいる最大のプロジェクトの一つが、新たな顧客向けポータルの構築だ。このポータルは顧客体験の向上に向けて、AI技術を利用している。これを使って新しいデータソースからマーケティングの洞察を得るとともに、顧客がAGCO製品の情報をより簡単に入手できるようにすることを目指している。
AGCOのアーマド・ハイダー氏(リードエンタープライズデータサイエンスアーキテクト)は「農業はデジタル的に進化していくとわれわれは考えた」と語る。実際、同社はそうしたニーズへの対処に動き出している。2017年ごろから新しい「顧客体験プラットフォーム」の構築を進めており、現在、欧州と中東の一部の国でパイロットプロジェクトを始めている。
この顧客体験プラットフォームは、多くのデータソースと、機械学習用や分析用のツールおよびサービスを組み合わせたシステムだ。ツールの中にはTableauのビジネスインテリジェンス(BI)製品やOracleのデータベース管理システム(DBMS)「MySQL」ベースの製品、ビッグデータ処理のオープンソースソフトウェア「Apache Spark」ベースの製品などが含まれる。
顧客体験プラットフォームの大部分は、Amazon Web Services(AWS)が提供するさまざまなサービス(以下、AWSサービス)に支えられている。このプラットフォームはAWSで稼働し、データウェアハウス(DWH)サービス「Amazon Redshift」やオブジェクトストレージサービス「Amazon S3」を使用する。また機械学習モデルの構築とデプロイにおいて、機械学習サービス「Amazon SageMaker」に大きく依存している。
ハイダー氏はこれらのAWSサービスが「かなり効果的に機能している」と語る。顧客体験プラットフォームのツールとデータソースは全て、比較的簡単に集約や相互連携ができたという。
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