既存のプロセスを強化する意義を見直そう
AWS Secrets Managerなどに注目 新しいAWS開発者用ツールが生み出す価値とは?
「AWS Summit 2018」では「AWS Secrets Manager」など、セキュリティと機械学習に重点を置いた新しいAWSデベロッパーツールが公開された。この新しいツールが扱うニーズについて解説する。
Amazon Web Services(AWS)は、2018年4月4日にサンフランシスコで開催した「AWS Summit 2018」で、AWSデベロッパーツールを求める参加者に多くのツールを公開した。
公開されたツールには、「AWS Lambda」(Lambda)の機能を使って資格情報へのアクセス制御を強化する「AWS Secrets Manager」や、「Local Mode」での人工知能(AI)構築を可能にする「Amazon SageMaker」のアップデートなどがある。本稿では、セキュリティ、機械学習、サーバレス機能に対するニーズや、最新のAWSデベロッパーツールの背後にあるソフトウェアエンジニアリングの課題について、AWSテクノロジーエバンジェリストのジェフ・バー氏にインタビューをした。
――AWS Summit 2018の参加者が最も多く話題に挙げた新しいAWSデベロッパーツールは「AWS Secrets Manager」でした。機密情報の管理がこれほど重要視されているのはなぜでしょうか。
ジェフ・バー氏(以下バー氏) 全てのアプリケーションには、セキュリティを確保しなければならない一連のキーとコードがある。だが、規制の数がかつてないほどに増えていることから、こうしたセキュリティ確保のハードルが上がっている。例えばEU一般データ保護規則(GDPR)のような動きがある。この規制は、全世界に大きな影響を与えるだろう。一方、アプリケーションを取り巻く環境では、統合、データ共有のニーズが増えている。企業には、あらゆるもののセキュリティを最初から確保する方法が必要だ。
普通は、機密情報が最初の手順になる。ログインキーやAPIのアクセスキーなど、手元には一連の機密情報がある。パスワード程度のシンプルなものも機密情報だ。ビジネス環境では通常、アカウント情報やパスワードなどが共有する機密情報に含まれる。しかし、そのパスワードが書かれた付せんがディスプレイに貼り付けられているのをよく目にする。このパスワードは機密情報であり、別のレベルの情報を保護するものだ。デスクの上やキーボードの下に貼り付けられた付せんを全て見て回ることはできない。機密情報の管理は、こうした見回りを可能にするハイテクの手段になる。
――LambdaなどのAWSデベロッパーツールによって開発者は多くのコードを素早く構築し導入できるようになりました。このことは、セキュリティが見過ごされる原因になっていると考えますか。
バー氏 複数の開発者が個々に構築作業をし、開発サイクルの終盤で「この開発したコードに優れたセキュリティの皮を被せて、全てを保護しましょう」と言うような開発モデルがある。当社はこれとは真逆の方法を好み、顧客にも同じプラクティスに従うよう勧めている。つまり、セキュリティの原則から着手し、セキュリティモデルを考案して、その後、実装を始めるのだ。
――Amazonの開発者は、Lambdaを使用してサーバレスAPIと、小さな機能や少量のコードを構築し導入していると話しています。サーバレスにはどのようなユースケースがありますか。
バー氏 Lambdaを公開して3年半になる。企業での導入は急速に進んでいると見ている。企業はLambdaを多種多様なイベントソースに結び付ける価値を実感している。Lambdaは、流入するデータフローを「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)に結び付ける神経系のようなシステムだと考えられている。企業は、Lambdaをメッセージキューと通知に結び付けている。今は、これを中心にしてさまざまなパッケージモデルを構築し始めている。
いずれ、サーバレスはもっと創造性を発揮するようになるだろう。例えば、有効期間の99%は事実上使用されていないようなアプリケーションがある。このアプリケーションが稼働する1%の期間は、トラフィックの量とは無関係に高速な動作と高い応答性が求められるとする。こうしたアプリケーションの例には、入学手続き、緊急対応、年間行事、スポーツイベントなどが考えられる。サーバレスは、こうしたトラフィックの急増に対して、バックグラウンドに混乱を生じさせることなく多くの容量を利用可能にする手段になる。
――企業レベルで機械学習を導入するとしたら、どのような課題がありますか。
バー氏 ベンダーやマスコミは、機械学習が前途有望なテクノロジーだと宣伝している。そのため、開発者は機械学習の知識が乏しくても、やがて「当社には大量のデータがある。機械学習を使って何かできないだろうか」と考えるようになる。
Amazon SageMakerは開発者に開発環境と導入環境を提供する。このサービスを開発者の手に渡せば、開発者はデータソースと開発、導入のツールが手に入る。そうすれば、モデルを構築して対話形式のテストをし、実行していることを理解できる。何度も繰り返し、テストデータを使ってモデルをトレーニングしてから、データソース全体を使ってモデルをトレーニングできる。
――企業にとっては、機械学習の最大の魅力はデータを適切に活用する機能にあるということでしょうか。
バー氏 大量のデータを所有している企業、つまりほぼ全ての企業は、そのデータを多くのことに生かしたいと考えている。企業は「どうすればこのデータのメリットを生かせるだろうか」と考える。最初は、少しの価値を求め、多くを望まないことだ。ビジネスプロセスを構築するだけで、20%以上の価値がもたらされる。これは企業にとって大きなメリットになる。
私たちはムーアの法則と、テクノロジー業界で起きる大きな機能強化に慣れ過ぎているため、通常のビジネスを支援してプロセスを10~15%強化する重要性を忘れている。このようなサポートができたら、本望だろう。機械学習はすぐに利用できるところにあり、顧客を助けることができるものなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[スパイスファクトリー株式会社] レガシーに消えるIT予算8割 「刷新か延命か」をAIと人で見極めるための手順 -
製品資料
[JetBrains s.r.o.] ソフトウェア開発は「コーディングエージェント」でどう変わるのか? -
事例
[テクバン株式会社] 太陽ホールディングスは国内外拠点の端末5000台をどう管理しているのか? -
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
2
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
3
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
4
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
5
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
6
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
7
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
8
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
9
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
10
「業務PC/ワークステーション」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー