国民の約7割相当の個人情報が流出したブルガリア、犯人は20歳の青年2019年、これまでの10大データ流出【前編】

2019年7月中旬までに発生したデータ流出事件を振り返る。前編となる本稿では、写真共有サービス「500px」およびブルガリア政府が標的となった事件を紹介する。

2019年09月05日 10時05分 公開
[Rob WrightTechTarget]
画像

 2019年上半期、企業が発表したデータ流出事件は複数ある。1件の不正アクセスが複数の医療関連会社に波及し、患者の個人情報と金融機関情報が何百万件も流出したケースもあった。

 本連載は、2019年7月15日までに公表された2019年のデータ流出事件のうち、注目すべき10件をまとめている。流出した情報の範囲や種類、規模はそれぞれ異なるが、いずれも機密情報が攻撃者(外部および内部犯行者)から不正アクセスを受けた。これらのうち多くの事例において不正アクセスの発生から発覚までに時間がかかっており、中には6カ月以上かかったケースもあった。一方でネットワークへの侵入が発生した当日に、それを検知して阻止したケースが1件ある。

 以下、データ流出10大発表をアルファベット順に振り返る。

  1. 500px
  2. ブルガリア国家歳入庁
  3. Canva
  4. Citrix Systems
  5. Clinical Pathology Laboratories
  6. Desjardins
  7. Evite
  8. LabCorp
  9. Quest Diagnostics
  10. トヨタ自動車

1.500px

 写真共有サービスを運営する500px社は2019年2月、運営する同名サービスについて、全ユーザーアカウント約1500万件の情報が流出したと発表した。発表によると、同社のエンジニアリングチームは同月8日に“セキュリティの問題”を発見し、第三者セキュリティ企業や法執行機関と協力して調査を開始したという。調査の結果、2018年7月5日ごろ、同社のネットワークが不正アクセスを受けていたことが判明した。

 氏名、ユーザー名、メールアドレス、パスワードといったユーザー情報が攻撃者の手に渡った。ユーザーが生年月日、性別、住所を500px社に提供していた場合は、これらの情報も流出した。パスワードはハッシュ関数「MD5」でハッシュ化されていたが、MD5は安全性が低く、現在は一般的に非推奨になっている。

 500px社は全ユーザーのパスワードを強制リセットした。ただし「ユーザーアカウントが悪用された形跡はない」と同社は述べている。メールアドレスとパスワードが流出しているかどうかを調べることができる無料Webサービス「Have I Been Pwned」(HIBP)によると、同社のユーザー情報は秘匿なネットワーク「ダークWeb」で販売されているという。

2.ブルガリア国家歳入庁

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社

クラウドメール環境を守る、セキュリティベンダー選定で知っておきたい22の要件

クラウドメール環境への移行を機に、従来型セキュアメールゲートウェイベンダーからのリプレースを検討する組織は多い。そうした組織向けに、クラウドメール環境に特化したセキュリティベンダー選定に際し、求めるべき22の要件を紹介する。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドに必要な「データドリブンなセキュリティ」を実現する方法とは?

クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。

製品資料 TIS株式会社

Web攻撃総数の2割以上が狙うAPI、適切な管理とセキュリティ対策を行うには?

ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。

製品資料 Okta Japan株式会社

アイデンティティー管理/保護の注目手法、「IGA」とは何か?

ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

AIで人材不足を解消、セキュリティ担当者のためのDXガイド

DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。