2019年、これまでの10大データ流出【前編】
国民の約7割相当の個人情報が流出したブルガリア、犯人は20歳の青年
2019年7月中旬までに発生したデータ流出事件を振り返る。前編となる本稿では、写真共有サービス「500px」およびブルガリア政府が標的となった事件を紹介する。
2019年上半期、企業が発表したデータ流出事件は複数ある。1件の不正アクセスが複数の医療関連会社に波及し、患者の個人情報と金融機関情報が何百万件も流出したケースもあった。
本連載は、2019年7月15日までに公表された2019年のデータ流出事件のうち、注目すべき10件をまとめている。流出した情報の範囲や種類、規模はそれぞれ異なるが、いずれも機密情報が攻撃者(外部および内部犯行者)から不正アクセスを受けた。これらのうち多くの事例において不正アクセスの発生から発覚までに時間がかかっており、中には6カ月以上かかったケースもあった。一方でネットワークへの侵入が発生した当日に、それを検知して阻止したケースが1件ある。
以下、データ流出10大発表をアルファベット順に振り返る。
- 500px
- ブルガリア国家歳入庁
- Canva
- Citrix Systems
- Clinical Pathology Laboratories
- Desjardins
- Evite
- LabCorp
- Quest Diagnostics
- トヨタ自動車
1.500px
写真共有サービスを運営する500px社は2019年2月、運営する同名サービスについて、全ユーザーアカウント約1500万件の情報が流出したと発表した。発表によると、同社のエンジニアリングチームは同月8日に“セキュリティの問題”を発見し、第三者セキュリティ企業や法執行機関と協力して調査を開始したという。調査の結果、2018年7月5日ごろ、同社のネットワークが不正アクセスを受けていたことが判明した。
氏名、ユーザー名、メールアドレス、パスワードといったユーザー情報が攻撃者の手に渡った。ユーザーが生年月日、性別、住所を500px社に提供していた場合は、これらの情報も流出した。パスワードはハッシュ関数「MD5」でハッシュ化されていたが、MD5は安全性が低く、現在は一般的に非推奨になっている。
500px社は全ユーザーのパスワードを強制リセットした。ただし「ユーザーアカウントが悪用された形跡はない」と同社は述べている。メールアドレスとパスワードが流出しているかどうかを調べることができる無料Webサービス「Have I Been Pwned」(HIBP)によると、同社のユーザー情報は秘匿なネットワーク「ダークWeb」で販売されているという。
2.ブルガリア国家歳入庁
2019年7月15日、ブルガリアは攻撃者が同国の国家歳入庁のシステムに不正アクセスし、住民約500万人の氏名、住所など個人情報を入手したと報道機関に知らせた。ブルガリアの人口は2017年時点で約710万人だ。盗まれたデータの一部は公開され、その中には納税情報などの個人資産情報も含まれていた。国家歳入庁の発表によると、この侵害は同年6月25日ごろに発生したもので、「本国史上最大のデータ流出ではあるものの、攻撃者が不正アクセスしたのはそのデータのうち3%だけだった」という。一部の報道機関は、犯人が「Instakilla」と名乗る人物だと推定した。ブルガリア当局はその後、サイバーセキュリティ業務に従事する20歳のブルガリア人、クリスティヤン・ボイコフ氏を逮捕し、起訴した。
中編では、Citrix Systemの事件をはじめ、5つの組織におけるデータ流出事件について紹介する。
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2019年、これまでの10大データ流出
企業のデータ流出が後を絶たない2019年。その7月中旬までの10大データ流出事件について、全3回にわたり振り返る。
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