結論の明確化に照準
Googleが発表した「説明可能なAI」で実現すること
Googleは、ユーザーがもっと説明可能なAIモデルを開発してデプロイできるようにする新たな製品群「Explainable AI」を発表した。その中身とは
Googleは2019年11月21日、説明可能性を高めた人工知能(AI)モデルをデプロイ(配備)できるエンタープライズ向け新たな製品群の「Explainable AI」を発表した。同社は1年以上にわたり、もっと信頼できるAIモデルを開発してデプロイするためのツールを提供する取り組みを続けている。データプライバシー侵害を巡って批判されることもある同社だが、もっとオープンで説明可能なAI技術の開発という急成長分野にも活発に取り組んでいる。
「GoogleはAI技術を取り巻く責任とガバナンスといった重要なトピックに関連して、マクロレベルで活発に活動してきた」。コンサルティング企業Clickchart(「CCS Insight」の名称で事業展開)で副社長を務めるニック・マクワイア氏はそう解説する。主にAI技術の重要原則に関する顧客の教育を基本として、倫理、政策、戦略といったマクロ分野に重点を置いている。
併せて読みたいお薦め記事
「説明可能なAI」が求められる理由
「AI」の信頼性を巡る議論
Explainable AIは、説明可能なAIモデルの導入と管理のためのツールとフレームワーク(特定の設計思想に基づくライブラリなどのソフトウェアやテンプレート、ドキュメントの集合体)で構成される。Explainable AIの要となるのは、β版サービスの「AI Explanations」だ。
AIモデルの説明可能性を高める「AI Explanations」
AI Explanationsの機能は、AIモデルを使った予測を支援するGoogleのサービス「AI Platform Prediction」に組み込まれており、ユーザー企業はクラウドにホストしたAIモデルによる予測をリクエストできる。
ユーザー企業はAI Explanationsを使って、AIモデル内の各機能が予測にどの程度貢献しているのかを把握できる。これは、AIモデルが出した結論に対する各機能の貢献度を計る一助となる。
「現状から見ると、そうした手順は間違いなくプロセスを向上させる」とマクワイア氏は指摘。「トレーニングを想定した場合や、プロジェクトがデータサイエンス、あるいは開発部門に限られる場合にうまくいく」と続ける。同氏によると、ユーザー企業が自ら構築するAIモデルには説明可能性がほとんどない場合もあり、ブラックボックスシステムと化していることもある。
「What-if Tool」で性能を可視化
Explainable AIには、ユーザー企業が自社開発のAIモデルの性能を可視化できるGoogleのインタラクティブインタフェース「What-if Tool」も含まれる。可視化の要素では、最低限のコーディングの経験しかないエンドユーザーでも、自ら開発したAIモデルを多様なグラフに描き出すことができ、さまざまなデータから出される結論をもっと簡単に特定できる。
What-if Toolでは、データポイントの機能の編集、追加、削除も可能で、2つのAIモデルを互いに照らし合わせて性能を比較できる。
GoogleのAI関連サービス群「AI Platform」は、モニタリング機能や継続的評価機能も含む。これらの機能は、AIモデルの入力情報と出力情報を、定期的に教師データ(人間の評価者が割り当てるデータ)と照らし合わせてサンプリングする。これによりAIモデルの性能に対する継続的なフィードバックを提供できる。
責任ある機械学習
マクワイア氏によるとExplainable AIは、説明可能なAIモデルを開発するためのツール開発を増やす目的でGoogleが着手してきた最近の取り組みに沿っている。
Googleはこの分野で過去1年の間に、What-if Toolや「Facets」「TensorFlow Extended」といった社内ツールを黙々とオープンソースにリリースしてきた。同社はAI関連サービス用に説明可能性ツールを開発し、企業利用向けにそれらの性能を高めているとマクワイア氏は説明する。「それは市場が求めていたことだった」(同氏)
政府がデータ利用に対する規制強化に乗り出す中で、説明可能なAI技術は注目のトピックとなった。AI倫理と企業経営者は、機械学習モデルが達した結論について、それに基づいて行動を起こす前にもっと詳しい説明を要求するようになっている。中で、説明可能なAI技術は注目のトピックとなっている。
調査会社Forrester ResearchのAI担当アナリスト、ガルティエリ氏は、説明可能なAIモデルについて「ほぼ全ての機械学習ツールベンダーは、自分たちのロードマップにその機能あるいは同様の機能を盛り込んでいる」と話す。
AIモデルの監視と説明のための製品/サービスは、Google以外のベンダーも提供しているとガルティエリ氏は言い添える。代表例はIBMの「Watson OpenScale」だ。
IBMは過去1年の間に、説明可能なAIモデル開発をさらに支援するための開発者向けツールや、結論に関するユーザーの理解を高めるためのツールを複数リリースしている。説明可能なAIモデル、あるいはガバナンスを高めたAIモデルを導入するためのツールを販売する新興企業も、この数年で複数登場している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[日本シーゲイト株式会社] 実験のやり直しを防止 研究データ基盤に求められる高可用性ストレージとは -
製品資料
[株式会社Leaner Technologies] もっと安く買えるのに…… 間接材購買で“コスト削減機会”を逃さないためには -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] フィールドサービスの熟練技術者が「AIエージェント」を求めている理由 -
製品資料
[株式会社グリーンフィールド・オーバーシーズ・アシスタンス] 基礎から分かる「就労ビザ」 アメリカ進出を目指すなら知っておきたい取得戦略 -
製品資料
[ネットアップ合同会社] データを安全に管理しながら製造DXとAI活用を推進、その具体策とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
2
ソフトウェア開発組織の疲弊を防ぐ、AI駆動開発の「レビュー負荷軽減」実践事例
-
3
高額GPUを買っても成果ゼロ? 「プライベートAI」の落とし穴
-
4
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
5
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
6
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
7
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
8
仮想化環境の死角を“未知の脅威”が狙う時代――新たな敵をどう見破るか?
-
9
JSONをやめてPythonで送る トークン消費を約7割抑えるAIの設計
-
10
9割が頓挫する「AI内製化」 差がついたのはツールより設計力
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
登録セキスぺが語る「SCS評価制度」の舞台裏 星を取得すべき理由と対応のコツ
-
2
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
5
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
6
AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは?
-
7
防御側の「3つの前提」が崩壊 AI時代のセキュリティに必要な3つの転換とは?
-
8
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
9
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
10
OSSでは困難 100超のサービスを持つマネーフォワードが実践した統合監視術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー