セキュリティとネットワークの運用を簡略化し得る新たな選択肢が、Gartnerの提唱した「SASE」だ。専門家は在宅勤務などのテレワークが企業の間に広がるとともに、SASEの採用も進むとみている。それはなぜか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、企業は「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)の導入を急ピッチで進めている。SASEは、セキュリティとネットワークに関する複数の製品・サービスの機能を集約した製品分野だ。調査会社Gartnerが2019年8月にSASEの概念を提唱してから、まだ日は浅い。その定着には早くても2024年までかかると予想されていた。だが、その予定が前倒しになると専門家は予想している。テレワークが普及するにつれ、企業が新たなセキュリティニーズに応える必要が生じるためだ。
GartnerはSASEを「データの場所を問わず企業が自社のデータを保護する手段」だと説明している。SASEが包含する機能の例には以下がある、
「2024年までに全企業の約40%がSASEを導入する」というのが、Gartnerでバイスプレジデントを務め、著名なアナリストでもあるニール・マクドナルド氏の予測だった。ところがマクドナルド氏によると、企業はまさに2020年の現在、SASEの導入を進めているところだという。「2020年後半から2021年、2022年を通して、コストの削減と複雑さの軽減を名目としてSASEの導入が加速する可能性がある」と同氏は見積もる。
調査会社Nemertes ResearchのCEOヨハンナ・ティル・ジョンソン氏も「SASEに関心を持つ企業が増えていることを確認している」と語る。同社は厳密にはSASEではなく、同様の製品分野を「SCAPE」(セキュアクラウドアクセス・ポリシー強制Policy Enforcement)という名称で定義している。SCAPEはクラウドサービスとオンプレミスのインフラの両方に対して安全なアクセスを実現し、システム全体にまたがる包括的なポリシー適用と保護を可能にする。
SASEの名付け親であるマクドナルド氏もジョンソン氏の評価に同意する。SASEへのニーズの高まりは「セキュリティやネットワークの要所が、オンプレミスのインフラからクラウドサービスに移行してきたことを反映している」というのがマクドナルド氏の見解だ。「焦点となるのはデータセンターではなく、IDであり、エンドユーザーであり、データだ。セキュリティとネットワークは、もはや場所を起点に考えるものではなくなった」と同氏は語る。
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