「iPhone」好調、“中華スマホ”は明暗くっきり スマホ出荷台数シェアを見るスマートフォン市場の“怪”【後編】

Samsung ElectronicsとAppleの2強がスマートフォン市場を引き続きけん引。中国ベンダー各社は明暗が分かれる――。スマートフォンの出荷台数シェアから、各社の動向を探る。

2021年12月23日 08時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 前編「『iPhone』は売れたのにスマホ市場が縮小した理由」は、2021年第3四半期(2021年7月〜9月)のスマートフォン市場の概況を紹介した。後編となる本稿は、同期における各スマートフォンベンダーの出荷台数を紹介する。

 調査会社Informa Tech(Omdiaの名称で事業展開)の調査でトップに立ったSamsung Electronicsの2021年第3四半期の出荷台数は6920万台となり、前年同期比で14.8%減少した。ただし2021年第2四半期(2021年4月〜6月)と比べると、同社の出荷台数は20.9%増えている。Omdiaによると、Samsung Electronicsの2021年第2四半期のスマートフォン製造は、製造拠点のあるインドとベトナムで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株が広がった影響で後退した。

iPhone好調の裏で“中華スマホ”は明暗分かれる

 Appleは2021年第3四半期の業績が好調だったことから、世界のスマートフォン出荷台数でXiaomiに代わって2位に浮上した。Appleの出荷台数は前期比17.6%増、前年同期比で22.7%増だった。同社の2021年第4四半期の出荷台数は5090万台で、2020年第3四半期の4150万台から増加した。Omdiaは、2020年のように新製品の出荷が第4四半期にずれ込むことなく、2021年第3四半期にスマートフォン「iPhone 13」を投入できたおかげだと解説している。

 旧バージョンである「iPhone 12」の好調な売れ行きは、iPhone 13の発売後も続く見通しだ。ただしOmdiaは、AppleのiPhone 13製造目標は、最近の部品不足の影響で引き下げられたと推測する。

 2021年第3四半期は3位だったXiaomiの出荷台数は4560万台で、2020年第3四半期比で2.5%増、前期比では8.6%減少した。2021年第3四半期の4位はOPPO(Guangdong OPPO Mobile Telecommunications)、5位はvivo Mobile Communicationだった。OPPOの出荷台数は3320万台と、vivo Mobile Communicationの3260万台をわずかに上回った。前年同期比ではOPPOの出荷台数は18.6%、vivo Mobile Communicationは8.0%、それぞれ増加した。

 Honor Deviceの出荷台数は、2021年第3四半期は6位だった。出荷台数は同年第2四半期の670万台から、同年第3四半期は1450万台に増えた。同社は、Huawei Technologiesから2020年に独立。Huawei傘下だったころには、同社のブランドのスマートフォンではGoogleが提供するサービスやアプリケーションを利用できなかった。

 Omdiaによると、Honor Deviceは地元中国の市場で回復を遂げて国際市場に再参入。独立に伴い、Googleが提供するアプリケーションをまとめた「Google Mobile Services」をプリインストールした端末を出荷できたことから、「Gmail」や「Google Maps」などGoogleが提供するアプリケーションを利用できるようになった。

 Motorola Mobilityの2021年第3四半期の出荷台数は、前年同期比で16.7%増加。2020年第3四半期の1050万台から、2021年第3四半期は1230万台となった。出荷台数は前期比でも16.0%増加した。

 10位のHuawei Deviceは、2021年第3四半期の出荷台数は580万台にとどまり、前年同期より84.9%減少した。2021年第2四半期の980万台からは40.8%減だ。Huawei Deviceは現在、中国市場に照準を据えているものの、国際市場を諦めたわけではないとOmdiaはみる。

 Omdiaのワイヤレスデバイス担当シニアリサーチマネジャー、ジャシー・ホン氏は、2021年初めから続いている半導体関連部品の品薄が、同年上半期(1月〜6月)ではなく、同年下半期(7月〜12月)の出荷台数に影響を及ぼしていると指摘する。

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