英国政府はコストを抑制して高速通信を普及させるために、水道と通信のインフラを併用する計画を打ち出している。これは賢い選択と言えるのだろうか。
英国政府は、地下インフラを使ってブロードバンド(広い帯域幅によるデータ通信)を国内に広く普及させようとしている。そのためには、通信事業者が100万キロ以上に及ぶ地下の共同溝(電気、ガス、下水道などのインフラ)を利用する必要がある。この計画を英国政府が初めて打ち出したのは2020年6月のことだ。
通信事業者は英国でブロードバンドサービスを提供するために主に電柱を使用している。だが英国政府の新たな計画では、水道管を共用して通信インフラとなる光ファイバーを敷設する。英国政府はこの事業を推進するために、通信、電気、ガス、水道などの事業者や、エンジニアリング会社によって構成するコンソーシアムを結成する。この取り組みで本当に英国政府の目標は達成するのだろうか。
事業者は英国のこの計画を熱烈に歓迎している。ネットワークベンダーExtreme Networksで英国のリージョナルディレクターを務めるダーウッド・アーメド氏は次のように語る。「英国全土で高速インターネット接続を普及させる計画が浮上する可能性が高いと考えていた。この規模の計画は非常に重要だ」
一方でアーメド氏は、英国政府が検討する手法について次のようにコメントする。「水道管を使って光ファイバーを敷設するというアイデアは効率性が高く独創的だ。だがインターネット接続の格差を完全になくすには、複数の解決策を検討する必要がある」
英国のインターネット接続の格差をなくすには、英国政府と「テクノロジーイノベーター」の協力が不可欠だとアーメド氏は指摘する。より具体的には、大手通信事業者だけではなく、革新的な技術を持った小規模のネットワーク事業者の協力を得ることが重要になるという。「その協力があって初めて、英国国民は場所に依存しない分散型の超高速ブロードバンド接続を利用可能になる」と同氏は話す。
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