LPWAの一種である「NB-IoT」は、将来的に「5G」のネットワークとの融合が進む可能性がある。NB-IoTや5Gの基本と併せて、両社が融合したネットワークについて紹介する。
LPWA(省電力広域ネットワーク)の通信規格「NB-IoT」(Narrow Band-IoT)と「5G」(第5世代移動通信システム)が融合すると、大規模なビルや広大な敷地を保有する組織にメリットをもたらす。両者はどのように補完し合う可能性があるのだろうか。まずはNB-IoTと5Gとは何かを説明して、両者の連携について考える。
NB-IoTは、「LTE」(Long-Term Evolution)のネットワークを使うIoT(モノのインターネット)向けの通信規格だ。屋内における省電力かつ広域の通信用途を想定している。無線規格の標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)がNB-IoTを策定した。
定期的に少量のデータを転送するバッテリー駆動型のIoTデバイスの接続は、NB-IoTの主な用途の一つだ。中にはメンテナンスなしで最長10年間稼働を継続することを目標にするバッテリー駆動型のIoTデバイスもある。これを可能にするために、NB-IoTはエネルギー消費を徹底的に抑制する仕組みになっている。反対に、データ転送速度や通信のリアルタイム性を犠牲にしている。
NB-IoTの名称にも採用されている「Narrow Band」(ナローバンド)とは、狭い帯域幅を使ったデータ伝送を意味する。使用する帯域幅を最小限に抑えるのは、IoTデバイスのバッテリーを節約するためだ。NB-IoTの仕様「LTE Cat-NB2」を利用した場合、アップリンク(デバイスから基地局へのデータ伝送)の帯域幅は最大159Kbpsに制限される。LTE Cat-NB2は、NB-IoTの仕様「LTE Cat-NB1」のアップグレード版だ。
5Gは、ブロードバンド(広い帯域幅を使ったデータ伝送)の比較的新しい技術だ。5Gは、LTEの技術を引き継ぎつつ機能を改善し、データ伝送速度や低遅延性、デバイス接続数を向上させる。AT&T、T-Mobile、Verizon Communicationsなど米国の通信事業者は、自社の移動通信ネットワークを5Gにアップグレードしている。Appleの「iPhone 12」など、5G通信ができるモバイルデバイスも登場している。
組織のプライベートネットワークとして5Gを利用する方法もある。大規模なビルや工場、広大な敷地でプライベートネットワークを運用する場合、無線LANよりも広範囲の通信が可能な5Gの方が適する。
NB-IoTは5Gのネットワークとの融合が進む見通しだ。5Gのネットワークの中でNB-IoTを利用すると、データ伝送速度や遅延時間、デバイスの同時接続数といった性能が向上することが見込める。NB-IoTは、通信事業者の5Gサービスと、プライベートネットワークの両方で、実用的な選択肢になると期待できる。
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