BYODの導入と継続のためのヒント【中編】
「BYOD」を解禁しても使える私物端末を限定すべき“当然の理由”
BYODを解禁した企業が、従業員の全ての私物端末の業務利用を許可することは適切ではない。それはなぜなのか。BYODを始めるときの考慮点を整理する。
企業はテレワークの推進や端末の調達コスト削減のために、従業員に対して「BYOD」(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)を許可できる。その際、情報漏えいの防止や従業員のプライバシー保護のための施策も同時に実施することが重要だ。企業がBYODを続けるために考慮すべき点とは何か。2つの考慮点を紹介した前編「『BYOD=コスト削減手段』だと考えてはいけない“納得の理由”」に引き続き、後編はさらに2つの考慮点を説明する。
考慮点3.プライバシーとセキュリティを両立させる
従業員は、自分の私物端末内にある全てのデータをIT部門に監視されると考えがちだ。これは必ずしも正しい考えではない。Appleの「iOS」やGoogleの「Android」といったスマートフォン用OSは、IT部門が「MDM」(モバイルデバイス管理)製品を介して確認できるデータと確認できないデータを区別できる。一方で従業員が端末を紛失した場合、その端末に対する責任は従業員にあるとしても、端末に保管された業務データに対する責任は企業にある。MDM製品を使えば、IT部門が遠隔操作で端末に保管された業務データを消去できる。
もし従業員がMDMの機能について教育を受けていなければ、プライバシーの面で不安を抱く可能性がある。職場でBYODを続けるなら、私物端末の操作履歴や保有データのうち、企業が何を監視して何を監視しないのか、さらにBYODのデータ保護対策を徹底するためにどのようなMDM技術を使うのかについて、従業員に説明する必要がある。
考慮点4.使える私物端末、使えない私物端末を明確にする
あらゆる私物端末を同じように管理できるとは限らない。現代のMDM製品で適切に管理できない古くなったAndroid端末や「Windows 7」といったサポートが終了したOSを搭載した端末の使用を従業員に認めることは、企業がBYODに失敗する原因となる。BYODを実施するときは、企業が管理できる端末の種類を明記する必要がある。OSのバージョンやパッチの適用状況の違いは、会社のセキュリティ対策やデータ管理に直接的な影響を及ぼす。
BYOD導入の成否は、従業員の私物端末を管理するための手法と従業員教育にかかっている。MDM製品をはじめとする管理技術を利用すれば、自社の業務アプリケーションやメールアカウントなどを、私物端末に安全に割り当てることができる。
私物端末で仕事ができるようにするためのプロセスも重要だ。従業員教育や業務アプリケーションの管理、業務に利用するデータの管理に関する責任は、一般的にはIT部門が担う。IT部門は従業員の端末登録やBYODポリシーの設定、BYODのトラブルシューティング方法に関するドキュメントの作成に着手しなければならない。
後編は、企業がBYODを成功させるための検討事項を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIに何を聞いても「汎用的な答え」しか返ってこないのはなぜか? -
製品資料
[サイボウズ株式会社] なぜAIは組織で定着しないのか? 全社活用を阻む「3つの壁」の突破法 -
製品資料
[株式会社スタディスト] 「不適合品率」改善はどこから始める? すぐにできて効果が大きいポイントとは -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを利益に変える「現場標準化」のすすめ -
技術文書・技術解説
[株式会社スタディスト] チョコ停・ドカ停を防ぐ「事前対策」の進め方
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
2
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
8割がアナログに逆戻りする“やっぱりな理由” DXを阻む2つの落とし穴
-
5
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
6
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
7
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
8
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
9
「データのバックアップ」に関するアンケート
-
10
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
3
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
6
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー