Microsoftのエコシステムを快適に感じる企業もあれば、抜け出したいと思う企業もある。脱Microsoftを推進する筆者は、Google WorkspaceとあるOSとの出会いによってデスクトップコンピューティング環境を大改革した。
Microsoftへの依存度を下げようと考え始めたのは数年前のことだ。きっかけは、「Windows as a Service」という見当違いのモデルへの不満と、ますます平凡で、往々にして終わりのない「Microsoft 365」の肥大化によってMicrosoftが注意をそらそうとしていると不満を感じたからだ。
最終的には、「Microsoft Teams」を次のロックインポイントとして準備していることが明確になった時点で結論を出した。Microsoftの「生産性ソリューション」が生活を複雑にし、足を引っ張り、イノベーションを損なっていると気付いたのは同時期だった。
結局、「Google Workspace」なるものに切り替えた。これは新鮮な体験だった。テクノロジーが突如邪魔ではなくなり、物事を成し遂げることに専念できるようになった。協調性と効率が上がり、気が散るものが少なくなった。Microsoft 365からGoogle Workspaceへの移行の過程で数台のPCが「Mac」に置き換わった。
その後、「CloudReady」というOSを提供しているNeverwareという小さな企業を見つけた。このOSは既存のPCを「Chromebook」クローンに変えることができる。一つか二つ制限事項はあったが、Neverwareは特に米国の教育市場で優れた成功を幾つか収めていた。
まず数台のPCをCloudReadyに移行し、クラウドクライアントモデルのシンプルさを体験してみた。これによってMicrosoftへの依存度を下げる取り組みがさらに進み、最終的にはデスクトップコンピューティング環境にChromebookを追加することにつながった。
GoogleがNeverwareを買収したときは本当に喜んだ。そしてCloudReadyが「Chrome OS Flex」に生まれ変わったことを最近知った。本稿執筆時点で、Googleの公式製品を実行すると「CloudReady 2.0」と表示される。Googleがこれを手直ししたのは明らかだ。筆者が見る限り、Chromebookと見分けが付かなくなった。Chrome OS Flexを搭載する機器には「Android」やParallels製品がサポートするような機能はないが、「Chrome Enterprise」にシームレスに統合される。「Active Directory」とも統合できるので、Google製品とMicrosoft製品が混在する環境の管理が容易になる。
まだβ版だが、筆者の数台のノートPCでは約3週間Chrome OS Flexが問題なく動作している。そのうちの1台にはIntelの第6世代「Core i7」プロセッサ、もう1台には第7世代Core i7プロセッサが搭載されている。CPUに触れたのは、どちらのノートPCも非常に高性能で耐用年数もまだ長期間残っているのに、「Windows 11」はサポートもされないからだ。もちろん「Windows 10」はまだ動作する。だがMicrosoftの恣意的なポリシーによって将来どうなるかは誰も知らない。
やや古いノートPCをChromebookに変えれば、自分のペースで置き換えながら最新OSのメリットを生かせる。Chrome OS Flexによって、直接的なコストをほとんどまたは全くかけずにGoogleのエンドユーザーコンピューティングを試す機会がもたらされる。その結果、Microsoftから離れるのが容易になる。
当社の現状はどうなっているかというと、中心はGoogle Workspaceとその他のさまざまなクラウドサービスだ。Microsoft 365のサブスクリプションは依然購入している。それは一部のレガシーアプリケーションが「Microsoft Excel」を必要とするためと、業界アナリストとしてMicrosoftの世界で何が起きているかを絶えず把握しておかなければならないからだ。Windowsは「macOS」「Linux」、Chrome OSと並んで当社が運用するクライアントOSの一つにすぎなくなった。
もちろん、MicrosoftがWindowsやMicrosoft 365で行っていることを本当に気に入っており、ワンストップショップとして一体感のあるアプローチとエンドユーザーコンピューティング資産の一貫性にメリットを感じている企業が多数存在することは十分認識している。だが、やや閉塞(へいそく)感、不満、ロックインを感じ始めているのであれば、Microsoftへの依存度を減らしてみる価値はある。Microsoftはエンドユーザーコンピューティング領域を支配しているように感じることもあるが、実際にはそんなことはない。
とはいえ、別のベンダーロックインが生まれないように注意しなければならない。Google Workspaceにも最高とは言えない機能があるため、全てにGoogleのツールを使うのは望ましくない。ただし当社の経験では、Microsoft 365以外にほとんど目を向けなかったMicrosoft中心の考え方をやめてみると、そこで得られる機会と同時にそこに潜む危険性をより深く認識する。もっと重要な点は、市場で提供されているものにオープンになり、警戒を怠らないことで得られるメリットだ。
話をChrome OS Flexに戻すと、Google WorkspaceとChrome Enterpriseを組み合わせれば、Microsoftに縛られている考え方と業務を少し緩めることが簡単になる。この分野で他にも可能性のある方法を考えているため、いずれ執筆する予定だ。
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