Microsoftが「VBAマクロ」原則ブロックを一時撤回 その理由とは?VBAマクロを手動でブロックする方法【前編】

「Microsoft Office」の初期設定で、VBAマクロの実行をブロックする設定変更を進めていたMicrosoftが、一時的にその方針を撤回した。なぜ撤回したのか。そのリスクとは。

2022年08月02日 05時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 Microsoftはオフィススイート「Microsoft Office」について、2022年4月提供のバージョン2203で、エンドユーザーがインターネットで入手した「Visual Basic for Applications」(VBA)のマクロ(アプリケーション自動操作機能)の使用を初期設定でブロックする変更を加えた。ところが2022年7月、この変更を一時的に撤回した。VBAはMicrosoft Officeファイル用のマクロを記述するためのプログラミング言語だ。その後同社は、同月提供のバージョン2206で、VBAマクロを初期設定でブロックする機能を復活させることを明らかにした。

「VBAマクロ原則ブロック」が突然撤回の“謎” 専門家の見方は?

 VBAマクロのブロックの目的はセキュリティの強化だ。Microsoft Officeのユーザー企業はVBAマクロを介して、知らないうちにマルウェアをダウンロードする可能性がある。一時的とはいえ、MicrosoftがVBAマクロのブロック方針を撤回したことに関して、不満を表すユーザー企業もある。

 MicrosoftによるVBAマクロのブロック方針撤回は、セキュリティ業界に混乱を引き起こした。VBAマクロのブロックが有効であれば、攻撃者はより巧妙な手口を考える必要がある。そのためMicrosoft Officeのユーザー企業にとって、攻撃されるリスクが減るとセキュリティ専門家はみる。

 VBAマクロのブロック方針撤回を決めたのは、Microsoft Officeに変更を加える必要が生じたためだとMicrosoftは説明する。同社は2022年7月11日(英国時間)、英Computer Weeklyの取材に対して「Microsoft Officeの使い勝手を向上させるために、一時的にVBAマクロの初期設定でのブロックをなくした」と説明した。

 Microsoftによれば、ユーザー企業は「グループポリシー」を使えば、VBAマクロを手動でブロックする設定ができる。グループポリシーは、ディレクトリサービス「Active Directory」のコンピュータ/ユーザー制御機能だ。


 後編は、VBAマクロのブロックを手動で設定する方法を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...