「Microsoft Office」の初期設定で、VBAマクロの実行をブロックする設定変更を進めていたMicrosoftが、一時的にその方針を撤回した。なぜ撤回したのか。そのリスクとは。
Microsoftはオフィススイート「Microsoft Office」について、2022年4月提供のバージョン2203で、エンドユーザーがインターネットで入手した「Visual Basic for Applications」(VBA)のマクロ(アプリケーション自動操作機能)の使用を初期設定でブロックする変更を加えた。ところが2022年7月、この変更を一時的に撤回した。VBAはMicrosoft Officeファイル用のマクロを記述するためのプログラミング言語だ。その後同社は、同月提供のバージョン2206で、VBAマクロを初期設定でブロックする機能を復活させることを明らかにした。
VBAマクロのブロックの目的はセキュリティの強化だ。Microsoft Officeのユーザー企業はVBAマクロを介して、知らないうちにマルウェアをダウンロードする可能性がある。一時的とはいえ、MicrosoftがVBAマクロのブロック方針を撤回したことに関して、不満を表すユーザー企業もある。
MicrosoftによるVBAマクロのブロック方針撤回は、セキュリティ業界に混乱を引き起こした。VBAマクロのブロックが有効であれば、攻撃者はより巧妙な手口を考える必要がある。そのためMicrosoft Officeのユーザー企業にとって、攻撃されるリスクが減るとセキュリティ専門家はみる。
VBAマクロのブロック方針撤回を決めたのは、Microsoft Officeに変更を加える必要が生じたためだとMicrosoftは説明する。同社は2022年7月11日(英国時間)、英Computer Weeklyの取材に対して「Microsoft Officeの使い勝手を向上させるために、一時的にVBAマクロの初期設定でのブロックをなくした」と説明した。
Microsoftによれば、ユーザー企業は「グループポリシー」を使えば、VBAマクロを手動でブロックする設定ができる。グループポリシーは、ディレクトリサービス「Active Directory」のコンピュータ/ユーザー制御機能だ。
後編は、VBAマクロのブロックを手動で設定する方法を紹介する。
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