ゲーム開発が“あの技術”によって変わった納得の訳ゲーム業界を支える最新技術【前編】

ゲーム業界には、以前からゲーム開発における“ある制約”があった。ゲーム開発はそれを乗り越えるために、どのようなやり方を採用しているのか。ゲーム開発の最前線を追う。

2022年08月03日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 中世の村からネオンの輝く都市まで、ゲーム開発者はゲーマーが息をのむ仮想世界を生み出す。その仮想世界を支えるコンピューティングリソースは膨大だ。ハードウェア性能が時代とともに向上するのに合わせ、ゲーム開発者が必要とするコンピューティングリソースも増大してきた。ゲーム開発者が向き合ってきた課題と、それを解消する方法とはどのようなものなのか。

ゲーム開発を変えた“あの技術”とは?

 「ゲーム開発は、ビデオゲームの時代からハードウェアに制約されてきた」と、コンピュータゲーム開発企業Ubisoft Entertainmentでシンガポール担当マネージングディレクターを務めるダリル・ロング氏は語る。同社はこれまでに「Far Cry」や「Assassin's Creed」などのゲームを発表してきた。

 Ubisoftの野望は、巨大で生き生きとしたゲーム世界の創出だとロング氏は語る。しかしそれを実現するには、開発現場ではメモリ不足やプロセッサのパワー不足などの問題が起こりがちだという。

 ロング氏によると、クラウドコンピューティングの登場によりゲーム開発における技術的制約は緩和された。クラウドインフラには必要に応じて迅速に拡張できる利点がある。ストレージの容量を必要に応じて追加したり、負荷に応じてCPUやメモリなどのサーバスペックを増減させるスケールアップやスケールダウンをしたりすることが可能だ。

 クラウドインフラを用いて、Ubisoftは「常時接続」のゲーム体験を提供する。人工知能(AI)技術搭載の同社のゲーム環境は、プレイヤーの不在時も変化を続けている。例えば、Assassin's Creedをゲーム機「PlayStation」でプレイする場合、電源をオフにするとゲームは停止する。しかしクラウドインフラでは、プレイヤーの不在時もゲームは進行し続ける。クラウドインフラで稼働するゲームでは、プレイヤーは他のプレイヤーと同時にプレイできる。インフラはプレイヤーの数に応じてスケールアップやスケールダウンをする。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news083.jpg

FacebookやXなど主要SNSで進む「外部リンク制限」の実態 唯一の例外は?
ソーシャルメディアはかつてWebサイトへの重要な流入経路であった。しかし、最近は各プラ...

news079.jpg

生成AIとAR/VRで失った個性を取り戻す――2025年のSNS大予測(Instagram編)
万能だが特徴のはっきりしない「何でも屋」と化したInstagram。2025年の進化の方向性を予...

news128.jpg

「AIネイティブ世代」の誕生 10代のAI活用度合いは?
博報堂DYホールディングスのHuman-Centered AI Instituteは、AIに対する現状の生活者意識...