ロシアによるウクライナ侵攻がロシアのサイバー犯罪者の攻撃活動に大きな影響を与えている。そうした中、サイバー犯罪者が「捨てた手口」と「新たに挑む手口」がある。それぞれは何なのか。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、サイバー犯罪者の「ビジネス」を取り巻く環境が激変した。英国のセキュリティベンダーDigital Shadowsは、ロシア語を使うサイバー犯罪者に人気の交流サイトの投稿を分析し、ウクライナ侵攻による影響を浮き彫りにしている。特に“不振”になったサイバー犯罪とは何か。
Digital Shadowsによると、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃やアカウントの乗っ取りといった攻撃が勢いを増している一方で、クレジットカード詐欺は減っている。ここで言うクレジットカード詐欺は、クレジットカードを盗んでプリペイドカードのチャージに悪用することを指す。クレジットカード詐欺が減っている理由について、ロシア連邦保安庁(FSB)の捜査活動が奏功したからなのか、サイバー犯罪者がクレジットカード詐欺への興味を失ったからなのかの見極めが難しいとDigital Shadowsは言う。
「クレジットカード詐欺は定期的に利益を得るのが難しいため、手口として衰退している可能性がある」とDigital Shadowsは述べる。サイバー犯罪者が利用する交流サイトでは、クレジットカード詐欺に関する最新情報があまり出ておらず、サイバー犯罪者が十分に情報収集できていないことも背景にあると同社は分析している。
クレジットカード詐欺は技術的な専門知識があまりなくてもできるサイバー犯罪だ。実行のハードルは低いが、安定収入につなげにくいことから、スキルを磨いて他の手口へとステップアップするためにクレジットカード詐欺を実施するサイバー犯罪者がいるとDigital Shadowsはみる。
第4回は、活発になっているランサムウェア攻撃の動向を取り上げる。
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