NASAの宇宙望遠鏡が撮影した画像を悪用したサイバー攻撃が発見された。この攻撃は、攻撃グループの間で人気の広がるプログラミング言語「Go」を使用していた。攻撃の手法と、「Go」が人気の理由とは。
セキュリティベンダーSecuronixは公式ブログで、NASA(米航空宇宙局)のジェームズ・ウェッブ望遠鏡が撮影した画像を悪用するサイバー攻撃について解説した。この攻撃で使用されるマルウェアは、攻撃者の間で使用が広がっているというプログラミング言語「Go」で書かれていた。
Goで作成されたマルウェアは、次の理由からサイバー攻撃者の間で人気が広がっているという。
中国を拠点とする攻撃グループMustang PandaのようなAPT攻撃(高度標的型攻撃)グループは、Goを好んで使用している。
Securonixのアナリストであるデン・ルズビック氏、ティム・ペック氏、オレグ・コレスニコフ氏は同社の公式ブログで、NASAの画像を悪用した攻撃を「GO#WEBBFUSCATOR」と呼ぶ。この攻撃に使用されたJPEG画像は、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡が撮影した写真「Webb's First Deep Field」だ。この写真は、光を波長ごとに分光することで人間の目では見えない現象を可視化するハイパースペクトルカメラを用いて撮影した。銀河団「SMACS 0723」を鮮明に映している。
攻撃者は具体的にどのような手法を用いたのか。まず、オフィスアプリケーション「Microsoft Office」のファイルをフィッシングメールに添付して拡散させる。この添付ファイルのメタデータ(データそのものの付帯情報)には、Microsoftのスクリプト言語「Visual Basic Scripting Edition」(VBScript)のプログラムを含む、悪意あるファイルをダウンロードする外部参照機能が含まれている。攻撃を受けたユーザーがマクロ機能を有効にするとコード実行がスタートする。
コードが実行されると、標的のPCはJPEG形式の画像をダウンロードする。この画像はコマンドラインプログラム「certutil.exe」を使いバイナリデータに変換され、マルウェアそのものに変化する。
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