ウクライナは活発化するロシアのサイバー攻撃にさらされながらも、抵抗を続けている。その背景には、ウクライナ政府にとっての“準備期間”の存在があるという。どういうことなのか。
2022年に活発化した、ウクライナのインフラを標的にしたロシアのサイバー攻撃。それらにウクライナ政府がめげずに対抗できているのは、ロシアのサイバー攻撃活動に徹底的に備える機会があったからだ。その機会とは何なのか。
ゾラ氏によると、2014年のウクライナ大統領選挙からロシアのサイバー攻撃活動が活発になり、ウクライナ政府がサイバー攻撃への対処に注力している。2017年からはランサムウェア(身代金要求型マルウェア)「NotPetya」を使った、ロシアからとみられるウクライナ狙いのサイバー攻撃も勢いづいた。
こうした“準備期間”があったため、ウクライナ政府は2022年のロシアのサイバー攻撃の波に備えることができたとゾラ氏は説明する。「準備の重要な要素の一つは、セキュリティ専門家の協力を得た上で、サイバー攻撃対処の専門部隊を立ち上げて訓練を繰り返すことだった」(同氏)
ゾラ氏によれば、ウクライナは通信インフラの回復力を確保できているものの、電力網をはじめとした物理インフラの維持には苦戦している。同氏は、セキュリティおよび通信機器ベンダーBlackberryが2022年8月に開催したオンラインイベント「Black Hat USA 2022」に参加し、セキュリティベンダーESETの研究者と共に講演。ウクライナ政府と民間企業が力を合わせ、大規模停電を引き起こすマルウェア「Industroyer2」に対抗するための取り組みを語った。
講演の当日、ゾラ氏は自宅で電気とインターネットが使え「珍しく円滑にオンラインイベントに参加できた」と説明。ロシアのサイバー攻撃を阻止するためには「経済制裁の強化を中心として、ロシア軍の活力を断つための施策が欠かせない」と主張した。
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