プロゴルフのPGAツアーは「CDP」を使わずにデータ×手作業でファンの心をつかむPGAツアー幹部が語るIT戦略【後編】

米国男子プロゴルフの「PGAツアー」はファンに関するどのようなデータを活用し、どう生かしているのか。PGAツアーのファンエンゲージメント担当者が、データ活用の実態を語る。

2023年01月10日 05時00分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

関連キーワード

CMS | CRM | 顧客満足 | データ分析


 プロゴルフ競技団体のPGA TOUR(PGAツアー)は、ファンを維持、獲得し続けるためにデータを生かしている。PGAツアーのファンエンゲージメント担当バイスプレジデントのトラヴィス・トレンバス氏に、データ活用の戦略を聞いた。


「CDP」を使わないPGAツアーのデータ活用策

―― 顧客データ活用の状況をお聞かせください。

トレンバス氏 私たちは、目指す方向性について長い時間をかけて考えてきた。ようやくその方向性に従って動き出したところだ。具体的にはAmazon Web Services(AWS)のクラウドインフラを利用し、そこでSnowflake製品によるデータレイクを構築している。データサイエンティストは、データレイクにさまざまなチャネルにおけるファンデータを取り込み、裏でプロファイルをつなぎ合わせている。

 データレイクには、さまざまなソースから非常に豊富なファンデータを保有している。チケット購入者、デジタルプラットフォームへの登録者、ニュースレターへの登録者、公式サイトで提供するゲーム「PGA Tour Fantasy Golf」のプレイヤーのデータなどだ。

―― 次のステップは「CDP」(顧客データプラットフォーム)なのでしょうか。

トレンバス氏 私たちはCDPを使っていない。現時点では、Snowflakeベースのデータレイクでデータをセグメント化(グループ分け)し、適切なツールに手動でデータをプッシュしている。具体的にはLiveRampのデータ接続ツールにセグメント化したデータを送り、広告のターゲティングを手動で実行している。自然な流れとして、次はCDPを導入することになると考えている。

―― CDPが実現することを既に実現しているにもかかわらず、CDPを導入するということは、CDPの利点は自動化なのでしょうか。

トレンバス氏 その通りだ。私たちは基本的にデータ活用に必要な作業を全て自前でやっている。それをする力はある。それでもデータサイエンティストが、より深い分析やセグメント化に集中する時間を確保できるならば、作業の自動化を進めた方がよい。

―― 新しいファンを獲得するために、導入を検討している技術は何でしょうか。

トレンバス氏 DFS(デイリーファンタジースポーツ:実在チームを使ったスポーツシミュレーションゲーム)やベッティング(賭け事)、NFT(非代替性トークン)などだ。ファン層を拡大・多様化させ、若いファンを取り込むための方法として、こうした新たなチャンスがたくさんある。特にベッティングは、大きな可能性を秘めている。

 ファンがスポーツを消費する方法について、必然的な過渡期に差し掛かっている。年配の、裕福な、ビジネス上の意思決定者といった従来のゴルフファンは、既存のテレビを通じて増え続けている。一方で若い人は、以前ほどはテレビを見なくなった。私たちは、適切なコンテンツを提供することで、若いファンを引き付けることに注力している。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

顧客/従業員/パートナーをシームレスな環境に統合、CXを改善する注目手法とは

「CXの分断」による顧客ロイヤリティーの低下は、ITリーダーにとって大きな課題だ。しかし、顧客にシームレスなCXを提供するためには多くの壁をクリアする必要がある。この壁をどう乗り越えればよいのか。

製品資料 双日テックイノベーション株式会社

Zoomの商談解析ツールで「営業活動の質と生産性」はどう変わるのか?

営業活動を進める上で、売り上げ改善に向けた取り組みに課題を感じる担当者は少なくない。昨今では、効率的な営業活動を実現する手段として、Zoomの機能、商談解析ツールを活用したアプローチが注目されている。その具体的な効果とは。

製品資料 ユミルリンク株式会社

メール配信システムとMAツールを徹底比較:乗り換えで失敗しないためのポイント

メール配信システムとMAツールには共通点が多いことから、低コストで運用できるメール配信システムへの乗り換えを検討する企業は少なくない。リプレースや新規導入で失敗しないために、両者の違いを解説する。

製品資料 株式会社ecbeing

B2B ECの導入失敗を回避、構築・運用の重要ポイントを解説

「B2B EC」は企業間取引を効率化するうえで非常に有効な手段だが、そのメリットを享受するにはポイントを押さえたサイト構築が求められる。B2B ECを始める前に知っておきたいサイト構築・運用の注意点を解説する。

製品資料 株式会社ラクーンフィナンシャル

B2B取引がオンラインで完結、今注目の「B2B EC」導入における3つの課題と解決策

働き方改革を受けて、対面取引からB2B EC(オンライン)への切り替えが進んでいる。B2B ECは受注から出荷までオンラインで完結できるなど多くのメリットが期待できるが、導入に当たっては、いくつかの課題を解消することが必要だ。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...