米国男子プロゴルフの「PGAツアー」は、“顧客”についてどう捉えているのか。PGAツアーのファンエンゲージメント担当者が明かす。
1929年以降、プロゴルフ競技団体のPGA TOUR(PGAツアー)は、米国男子プロゴルフツアーを独占的に開催してきた。2022年の現在まで、その存在を脅かすほどの競合が存在したことはない。
2022年初めに、サウジアラビアの支援を受けたプロゴルフ競技団体LIV Golf(LIVゴルフ)は、同名の新しいツアーを開始した。LIVゴルフはシーズン前に派手な広告を展開。若いファンを引き付けそうなナイトクラブパーティーのような雰囲気を醸成したり、多額の報酬を用意したりして、PGAツアーから有名選手を引き抜いた。にもかかわらず、LIVゴルフは観客動員数をそれほど増やせなかった。
だからといってPGAツアーが栄光に安住することはない。PGAツアーのファンエンゲージメント担当バイスプレジデントのトラヴィス・トレンバス氏に、顧客体験の現状とIT活用の方向性について話を聞いた。
―― PGAツアーにとっての“顧客”は誰なのでしょうか。
トレンバス氏 実にさまざまなタッチポイント(顧客接点)があり、それぞれに顧客がいる。試合会場を訪れる観客、ソーシャルメディアでつぶやくインターネットユーザー、ストリーミング動画やテレビの視聴者など、数え切れないほど存在する。エコシステム(複数の企業による共存共栄の仕組み)は非常に多様で、充実している。
私たちには“顧客”と見なせるステークホルダーが、他にも多く存在する。彼らにも素晴らしい体験を提供しなければならない。例えば毎週「ロッカーにタオルを追加してほしい」と頼まなければならない選手がいるとしたら、それを予測し、そのようなことがないようにしたいのだ。
PGAツアーには40社以上のタイトルスポンサー(オフィシャルマーケティングパートナー)が付いている。放映権を持つメディアもある。全てのツアーにボランティアを擁しているし、報道関係者もいる。
中編は、PGAツアーが活用する主なITツールを紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
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